■第24回日本フットボールリーグ(2022)第20節
FC神楽しまね 1-2 高知ユナイテッドSC
2022年9月4日(日) 15:00
松江市営陸上競技場
観客 527人
【得点者】 20分 下村尚文(しまね) 48分 稲積大介(高知) 56分 稲積大介(高知)
【警告・退場】 ■ 29分 垣根拓也(しまね)
目下リーグ戦4連勝と波に乗るFC神楽しまね。
クラブの資金難により選手・スタッフらへの給与支払いも滞っている中、選手たちはモチベーションを落とさずピッチ内外で精一杯戦い続けています。
試合日前日にはイオン松江店で選手・スタッフらが試合の告知活動(ビラ配布)を実施。その甲斐もあってかこの日の松江市営陸上競技場には今季2番目に多い527名の観客が詰めかけました。
スターティングメンバー
FC神楽しまね
前節ヴィアティン三重戦からのスタメン変更はありません。
リザーブメンバーもDFの長田健に代わって今村直也が戻ってきたこと以外は前節と同じメンバーで試合に臨みます。
高知ユナイテッドSC
高知は前節のスタメンから2人を変更。
CBを横竹翔選手から本石捺選手、3トップの1枚を西村勇太選手から樋口叶選手に替えています。
試合経過
前半はしまねがボールを支配し高知を攻め立てる展開。
前半10分辺りまではしまねがほぼボールキープを続け高知陣内でのプレー時間が長くなっていました。
しかし高知は13分にコーナーキックのチャンスを得ると、この流れから西村光司選手が枠を捉えた決定的なシュートを放ちます。GK井上亮太も対応できずゴールインかと思われたボールはカバーに入っていた谷尾昂也が間一髪クリア。しまねは何とかピンチを凌ぎました。
そして20分。しまねはこの試合最初のコーナーキックの場面で、髙畑智也が蹴ったボールを下村尚文が頭でしっかり合わせゴール。しまね1-0高知。
下村のJFL初ゴールで連勝中のしまねが幸先よく先制します。
その後も長短のパスを効果的に織り交ぜながら攻撃を続けるしまね。35分には左サイドを突破した菅本岳が中央に絶好のクロスを供給しますが僅かに中の佐々木健人に合わず。
この他にも再三のコーナーキックなど高知ゴール前のシーンは多く作ったしまねでしたが追加点は奪えません。結局しまね1-0高知で後半へ折り返します。
1点をリードされている高知は後半の頭から2選手を交代。DFの本石捺選手に替えて横竹翔選手、CMFの中舛健人選手に替えて栗原純也選手を投入します。
この交代で3バックが左から藤﨑将汰選手・横竹翔選手・饗庭瑞夫と前節FC大阪戦と同じ並びになり、CMFの田尻靖晴選手も前節同様左にポジションを移動しました。
すると後半3分、いきなり高知が同点に追いつきます。
しまねのクリアボールを拾った田尻選手が稲積大介選手にボールを預けると、稲積選手は遠目の位置から左足でミドルシュート。威力はそれほどなかったものの非常に良いコースに飛んだボールがネットを揺らし、しまね1-1高知。
後半になると高知の各選手はしまねのボールホルダーに激しくプレスをかけるようになり、しまねは前半のような落ち着いたボール回しができなくなります。
そして後半11分。高知は山田恭也選手が中央に山なりのクロスを送ると待ち構えていた稲積選手がダイレクトに左足で合わせてゴールに放り込み逆転。しまね1-2高知。
しまねは1点をリードして後半を迎えたにもかかわらず後半開始から僅か10分少々で逆に1点のビハインドを負うことになりました。
追い付きたいしまねは60分に最初の選手交代。髙畑に代えて山本蓮を投入します。山本は右のサイドハーフに入り、菅本が左のサイドハーフに回りました。
その後しまねは細かくパスをつないで何度も高知ゴールに迫りますがなかなかシュートを打つまでには至りません。
74分、しまねは2枚替え。FWの加倉広海に代えて遊馬将也、左SBの辻川裕介に代えて澤島輝を投入。澤島は左サイドハーフに入り、菅本が左SBの位置に1列下がりました。
直後の75分、しまねに大ピンチ。
右サイドを赤星魁麻選手に突破されシュート許すと井上がこれを何とか弾き出しますがここに詰めてきた栗原選手に再び決定的なシュートを打たれてしまいます。しかしボールは井上の正面。しまねは失点を免れました。
81分、しまねは最後の選手交代。FWの谷尾に代えて田平謙、左SBにポジションを変えた菅本に代えて石川健太を投入。
この交代でフォーメーションは遊馬をワントップに置いた4-2-3-1に移行しました。
高知の堅い守備ブロックに手こずり最後のところでシュートが打てないしまねはアディショナルタイムになるとシンプルにロングボールを放り込んで状況を打開しようとしますが事態は変わらず。
結局高知が1点のリードを守って逃げ切りしまね1-2高知でタイムアップ。
しまねは高知にアウェイで敗れたリベンジならず。連勝は4でストップしました。
感想
失点シーン
前半のうちに先制し「今日も行ける」と思われただけに後半早々立て続けの失点は全く信じ難かったです。
後半3分の失点場面は昨季までもよくあったエアポケットに落ちたかのような失点の仕方でした。
稲積選手があの位置からシュートを打つとは思っていなかったのか寄せが甘かった上にシュートコースも塞げていません。しまねDFの足があと一歩でも出ていたら十分枠を外すことができたはずですが、誰もシュートに反応せずに見送ってしまいゴール左隅に決められてしまっています。
前後半の立ち上がりと終了前はゴールが生まれやすい時間帯でもありますし、より一層の集中力が求められるべきでしたのであの失点は非常に残念でした。
後半11分の稲積選手の2点目に関しては、正直あんなシュートを決められたらもうどうしようもないです。
強いて言えばしまねの選手が稲積選手が侵入してきたスペースをフリーにし過ぎたというのはありますが、むしろそこを正確に狙って浮き球のパスを出した山田選手と鮮やかなボレーシュートを決めた稲積選手を素直に褒めるべきでしょう。
ここ2試合クリーンシートで閉めていたしまねが5試合ぶりに喫した複数失点。やはり2点以上失うと勝ち点奪取は難しくなります。とは言え崩された失点では無く個人技で取られてしまった失点ですので「こんなこともある」と気持ちを切り替えて次節以降また粘り強い守備を取り戻してもらえたらと思います。
堅守を崩すアイデア
高知のフォーメーションは3-4-3ですが、後半リードしてからは守備時に中盤のサイドハーフが1枚DFラインまで下がり4-3-3の守備ブロックを作って守っていました。
しまねはこの守備ブロックの攻略に苦戦。
ビルドアップの際にボールの出しどころが見つからずDFラインでボールを回さざるを得なかったり、サイドでボールを持てたとしても高知の中央が堅いためクロスボールをことごとく跳ね返されたりで効果的な攻撃につながりませんでした。
引いた相手を崩すのはどこのチームでも難しいのは解りますが、しまねは遅攻の際にもう少し攻撃のアイデアが欲しい。
攻撃にアクセントを加えられる川中健太選手が移籍してしまいましたのでなかなか難しい面もあるでしょうが、何とか今居る選手たちで工夫を重ねてもらいたいところです。
戦績
しまねは敗戦はしましたが下位に居るチームが軒並み敗戦もしくはドローに終わったため順位は11位で変わりません。
降格圏の15位・MIOびわこ滋賀との勝ち点差は7。残り試合は10試合もありますのでまだまだ余裕があるとは言えない状況。
しまねより下位に居るホンダロックSC・ソニー仙台FC・FCティアモ枚方・MIOびわこ滋賀とは直接対決が残っています。容易に相手に勝ち点を与えることが無いよう気を引き締めて戦ってもらいたいです。
次節の対戦相手
次節は2022年9月11日(日)。アウェイで首位・FC大阪と対戦します。
過去の対戦成績はしまねの2勝1分け3敗。今季の前半戦、島根県立サッカー場で対戦した際は3-1でしまねが勝利しています。
J3昇格を目指すFC大阪とすれば絶対に落とせない試合ですし、前半戦の借りを返したいと選手たちも意気込んでいることでしょう。
試合会場が大阪ということでしまねの選手たちはヴィアティン三重戦の時のように試合当日移動の可能性もあります。
非常に厳しい戦いになると予想されますが何とか連敗阻止に向けて力を尽くしてもらいたいものです。