クラブ関連情報(2022年)

9月4日 試合後の一幕

2022年9月6日

プロモーションを含みます

選手らが試合日前日に配布した試合告知ビラ

2022年9月4日、FC神楽しまね高知ユナイテッドSC松江市営陸上競技場で対戦。

試合は4連勝中のしまねが先制したものの高知に後半逆転を許し1-2で敗戦。5連勝とはなりませんでした。

試合後、FC神楽しまねの運営会社である松江シティFC株式会社の代表取締役社長・宮瀧譲治氏がクラブの資金難が表面化して以来初めて観客の前で挨拶を行いました。

宮瀧社長の挨拶

資金難が報じられクラブが緊急支援金の募集を開始したのが2022年7月29日

その直後の7月31日にはヴェルスパ大分とのホームゲームが松江市営陸上競技場で開催されています。

本来であればその時に宮瀧社長が観客の前に立ち、クラブの現状説明と緊急支援のお願いを肉声ですべきだと思いましたがその時に社長は姿を現さず、そこから1ヵ月以上経過した9月4日というタイミングでの登場となりました。

満を持して出てきたからには前向きな話が多少なりとも聞けるかもしれないと僅かな期待もしましたが、そんな淡い希望は見事に打ち砕かれ、結論から言えば話の内容は引き続き緊急支援金の協力をお願いしたいというもの。

クラブとして現在何をしていてどういう状況なのか、先は見通せているのか、どこまで協力すれば大丈夫なのか、など我々が知りたいことは一切説明がなく、ただ「緊急支援金をお願いします」の一点張り。

社長の言葉に落胆していると思わぬところから声が上がりました。

選手たちの声

声を上げたのは副主将の佐藤啓志郎選手。「それじゃ納得しないですよ」と切り出すと

「見ている皆さんを納得させてください。これからどういう風にしていくかということを今どういう風に取り組んでいるかということを言ってくださいよ」

ここで会場から大きな拍手。佐藤選手は続けて

「『このまま選手と共に走り抜ける』ってどうやって走り抜けるんですか。そこを言ってくださいよ」

さらに主将の垣根拓也選手も社長に向かって

「もう少し中身を言わないと。今こういう取り組みをしていてどう改善していくかをもっと伝えないと」

とまさに我々の思っていることを代弁してくれました。

これを受けて宮瀧社長は何とかそれに応えようと言葉を探し続けますが何も表明できないまま沈黙の時間ばかりが続き収拾がつかなくなります。

このままでは永遠に終われないのでは?と感じ始めたところで垣根主将が宮瀧社長のところへ歩み寄ってマイクを受け取り、こう話してくれました。

「正直先の見えない厳しい状況ですけど、また新たにスポンサーになってくださる方々を一生懸命、選手・スタッフ・フロントスタッフ全員で協力して募り、より多くのスポンサー支援をしていただけるように日々努力しています。僕たちは100%で戦いますので今後ともよろしくお願いします」

ここで割れんばかりの拍手と会場の一部からは選手たちを激励する声。声出しは解禁されていませんが思わず声が出てしまったのでしょう。垣根主将・佐藤副主将の振る舞いに心打たれた者としては十分理解できるものでした。

なおこの一連のやり取りはJFLオフィシャルチャンネル「第24回JFL 第20節 FC神楽しまねvs高知ユナイテッドSC」にノーカットで配信されています。

何のための挨拶だったのか

芸能人が不祥事を起こし渋々開いた記者会見で更に炎上し「あれならやらない方が良かった」と酷評されることが度々あります。

今回の宮瀧社長の挨拶はまさにそれでした。

おそらく今回の挨拶も社長が進んでやりたいと言い出したものではなく、クラブ内からの「社長自ら直接ファンの皆さまに緊急支援のお願いをすべき」という声に押されてのものだったのではないでしょうか。

それにしてもクラブの現状や再建計画の話など、本来なら当然準備しておかなければならない武器を持たず丸腰で公の場に登場するのはさすがにひどすぎると感じました。会見ではなく一方的に観客に向かって話すだけだからそんなものは必要ないと高をくくっていたのかもしれません。まさかあの場で選手たちから糾弾されるとは社長自身も夢にも思っていなかったでしょう。

「クラブをどう維持していくのか、どう再建するのか、裏で粛々と話を進めているが相手方の立場もあるし今は話せない」

そういうことなら解りますが社長のあの様子を見ているとおそらく「そんなものは何もない」のだと思われます。

今回の件が世に出たことで「あんなところに出資しても無駄」となるのか「声を上げた選手たちを何とか助けてあげたい」というスポンサー企業が現れるのか。後者であることを切に願いたいです。

宮瀧社長

松江シティFC株式会社の累積債務は吉岡健二郎前会長時代の負の遺産であり、本来責任を負うべきは吉岡前会長であると個人的には思っています。

思えば本年4月、クラブの公式リリースもないのに代表取締役が吉岡氏から宮瀧現社長に突然変わっていたのを知った時に何やら違和感は覚えていました。

ここからは想像の話に過ぎませんが、経営難でクラブがもうどうにもならなくなったことで吉岡氏が匙を投げてしまい、次の代表者の成り手もない中で白羽の矢が立ったのが宮瀧社長だったのではないでしょうか。

言わば火中の栗を拾う形での社長就任だったと思われ、そこは本来感謝すべきところなのかもしれません。

宮瀧社長も吉岡会長時代にある程度はクラブ経営に携わっていたでしょうから債務超過の責任が全然ないとは言い切れませんが、吉岡会長時代の不始末を全て押し付けられているのは少々気の毒な気もしています。

とは言えそれも承知で引き受けた仕事ですから、とにかくクラブを、そして選手・スタッフ・社員を守るために鬼となって戦って欲しい。

いわきFCの大倉智社長はスポンサー獲得のため壮大な事業構想をプレゼンし、スポンサーから冗談で「胡散臭い詐欺師みたい」と言われたこともあるとか。宮瀧社長も多少の大法螺を吹いてでもスポンサー・株主に何とかお金を捻出してもらうとか、クラブの買い取り先を探すとか、行政の支援を仰ぐとか、とにかくやれることは全部やってもらいたい。

次に宮瀧社長が我々の前で挨拶する時には、明るい話題が聞けることを期待しています。

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