2022年7月26日付けの山陰中央新報27面に「FC神楽しまね給与未払い」の記事が掲載されました。
その後FC神楽しまね公式サイトで代表取締役社長・宮瀧譲治氏より、今回の報道内容が事実であり現状からの脱却に向けて社を挙げて取り組んでいるとの声明が同日中にリリースされています。
この問題について現時点で思うことを記しておきます。
報道内容
山陰中央新報の報道内容を整理すると次のようになります。
・7月分の給与支払い日である7月25日に選手全32人の他、社員やスタッフについても給与未払いとなった。
・選手らには事前に支払いの目途が立っていない旨、説明をしていた。
・今年6月分の給与についても支払日には一部(50%)しか支給できず、残りは6日後に支払っている。
・クラブは現在島根県中小企業団体中央会の助言を受けており、スポンサー収入の増加に向けても取り組む意向。
また、7月26日のNHKニュース「サッカーJFL 『FC神楽しまね』 選手らの給与未払い」で報じられた内容は次の通り。
・選手32人と、社員・スタッフ18人、合わせて50人について7月分の給与が未払いになっている。
・クラブ側の説明によると未払いの理由は以下の通り。
①新型コロナで試合数が大幅に減少し、入場者数も減少
②累積赤字が重なっており資金難に陥っている
・選手らには給与支払日の4日前にあたる7月21日に、支払いの目途が立っていないことを説明した。
・クラブは現在島根県中小企業団体中央会から経営再建の助言を受けている。
なお、報道を受けてクラブ側が出した声明はこちら。→「今回の報道について」(現在は非公開)
【補足】2022年2月1日より松江シティFCはチーム名をFC神楽しまねに改めましたが、運営会社名は従来の名称である松江シティFC株式会社のまま変えていません。
選手たちの反応
クラブ側の声明はツイッター上でも公開され、そのツイートを引用しながら垣根拓也主将を始め多くの選手たちが実に前向きなコメントをしています。
我々応援する側の人間にとって彼らのコメントはとても励まされるものであり、幾分不安を払拭してくれるものでもありました。
今回の7月分給与未払いは7月21日に選手たちに説明されたとのことですが、その3日後にはJFL残留に向けて非常に大事なクリアソン新宿との一騎打ちがありました。給料遅配の状況でチーム内に動揺が拡がっても不思議ではないのに、選手たちはしっかりこの大一番を制し降格圏を脱出しています。
もっと言えば、6月分の給与支払い日である6月25日に給与一部未払いが起こっていたにもかかわらず、その後のリーグ戦戦績は2勝2分け1敗と前半戦最下位チームとは思えない好成績。
ともすれば生活が脅かされるかもしれないという不安の中、逆に好結果を残してくれた選手たちの精神力の強さには敬服するばかりです。
クラブ側は選手たちのこうした心意気に一刻も早く応えて欲しい。心からそう思います。
世間の反応
本件に関するSNSやネットニュースのコメントなどを見ると、ごく一部に嘲笑的なものも存在してはいますが、概ねFC神楽しまねを応援するものであり、個人的には非常にありがたいと思っています。
今回資金難ひいては経営危機という重大な事実が公になったことで、もしかすると地元企業の中に「何とか神楽しまねを支援したい」というところが新たに現れるかもしれない。そんな楽観的な希望を抱かせてくれるくらいに世間一般の方々が「神楽しまね、頑張って!」と言ってくれる。そのことが純粋に嬉しかったです。
資金調達に関しては今回の報道がむしろプラスに作用するとポジティブに考えて、クラブ側も何とか踏ん張って欲しいところです。
我々にできること
経営に関して部外者である我々がどうこうできるはずもなく、やれることと言えば「今まで通り応援する」。これしかありません。
選手たちを応援で後押しし、会場ではグッズを買ってクラブにお金を落とす。
そして、もしクラウドファンディングが立ち上がれば無理のない範囲で協力する。
クラブ側もこういう時なのでファン・サポーターに頼ることを恥と思わず、本音で「助けてください」という声をオープンにすべきかと思います。募金箱を設置するのも良いでしょう。クラウドファンディングの返礼品を松江シティFC時代の売れ残りのグッズにしたとしても文句は言いません。試合告知のポスター貼りやビラ配りなどボランティアが必要であれば喜んで協力もします。
今は応援する側の我々を含めFC神楽しまねに関わる全ての人々がそれこそ一丸となってこの難局を乗り切らなければなりません。
まずは未払いとなっている給与が一刻も早く全員に支払われますように。
そのニュースが報じられる日を待ち望んでいます。
【追記】緊急支援のお願い
当記事を公開した翌日の2022年7月29日にFC神楽しまね公式サイトに「緊急支援のお願い」が掲載されました。
支援者へのリターンはなく純粋な寄付をお願いするものです。
キャッシュがないという切迫した状況なので現金化に時間がかかるクレジットカードやコンビニ払いでなく銀行振込による入金をクラブ側は希望しています。
資金難に至った経緯や今後の再建計画についてクラブ側の詳細な説明が無いことから今回の緊急支援については否定的な声も当然あります。
しかし一方で他クラブのサポーターさんや島根県民・松江市民の方々がクラブを救うために支援を表明してくださるなど、非常にありがたい声も多く聞こえてきます。
この記事を読んでFC神楽しまねを助けてやろうと思われた方は「緊急支援のお願い」のページ末尾に『緊急支援のお申込みこちらから』のバナーが貼ってありますので、そちらからご支援をいただければ幸いです。
【最新情報】
緊急支援金経過報告
FC神楽しまねの公式ツイッターアカウントが2022年8月17日時点で緊急支援金がどれだけ集まったかをツイートしています。
8月17日現在の経過報告をさせていただきます。
引き継ぎご支援をよろしくお願いいたします。https://t.co/gspDLtJLw7#FC神楽しまね pic.twitter.com/XNlG47qDAg— FC神楽しまね (@fckagurashimane) August 18, 2022
7月29日に募集を開始して以来、20日間で集まった支援金が5,359,000円。支援者の数は469名。
目標額の5,000万円に対して達成率は約10%という状況です。
皆さまからの暖かいご支援に、ただ感謝するばかりです。
また8月24日、クラブ公式サイトに「緊急支援への御礼ならびに今後について」のリリースが公開されました。
非常に多くの方々から緊急支援金をいただいたことへのお礼に加え、クラブの現状と今後についても言及されていますので以下に内容を要約して記載しておきます。
・集まった支援金は選手・スタッフ・社員の7月分の給与(40%分)と運営資金に充てた。
・経営面で未だ多くの課題を抱えたままではあるが、トップチームの残り12試合及び育成年代のリーグ戦・カップ戦・スクール活動など今季の予定を最後までやり遂げてシーズンを全うしたい。
・今後はさらなるスポンサー営業と経費削減を実行しつつ、新たな収入源の構築を図って今シーズンを乗り越えていくつもりである。
・来季は身の丈に合った事業計画を作成・遂行し、今まで以上に地域に根差したクラブ運営を行う。
・現状、7月分給与の残り60%ならびに8月分給与の支払いが滞る可能性が高いため、引き続き「緊急支援のお願い」についてご支援・ご協力をお願いしたい。
8月28日開催のJFL第19節・ヴィアティン三重戦では選手・スタッフの前泊費用を削減するため、島根から三重まで試合当日の移動をせざるを得ないとのこと。
極めて厳しい経営状況に変わりは無いのですが、クラブには何とか最後まで諦めずに踏ん張ってもらいたいです。
宮瀧社長の挨拶
2022年9月4日開催のJFL第20節・FC神楽しまねvs高知ユナイテッドSC試合後に松江シティFC株式会社代表取締役社長・宮瀧譲治氏より観客に向けて緊急支援金への協力が重ねて要請されました。宮瀧社長の説明に対しFC神楽しまねの選手たちから「納得がいかない」と声が上がり社長が対応に苦慮する一幕も。下記の記事にその詳細を記載しています。
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参考9月4日 試合後の一幕
続きを見る
9月分給与も未払いに
FC神楽しまねの公式ツイッターアカウントが2022年9月21日、選手・スタッフ・社員へ未払いが続いている7月分給与の残り60%および8月分給与全額に加えて9月分給与も全額未払いになるとツイートしています。
選手、スタッフ、社員に対する給与の未払いについて#FC神楽しまね pic.twitter.com/J4iciFprnT
— FC神楽しまね (@fckagurashimane) September 21, 2022
給与未払いが発覚して約2ヵ月経ちますが、未だにクラブが具体的な再建計画や経営改善に向けた取り組みの進捗状況を説明していないことから、このツイートへのリプライや引用リツイートの形で厳しい非難の声も上がっています。
新聞報道
2022年8月3日付け山陰中央新報25面に「神楽しまね 資金援助募る」という記事が掲載されました。
今回の緊急支援金の内容についての説明及び宮瀧譲治社長のコメントが載っています。
宮瀧社長によると「ファンクラブの新規加入者獲得やグッズ販売にも力を入れ、経営状況の改善を図る」ということです。
なお未払いとなっている選手・スタッフ・社員の7月分給与については、現在も支払いの目途は立っていないと記載されています。
また8月25日の同紙25面には「神楽しまね経営難続く」のタイトルでクラブの現状についての記事が紙面に載りました。
記事内容は上述のクラブ公式サイト「緊急支援への御礼ならびに今後について」に書かれているものと大差ありません。
9月5日の同紙8面ではJFL第20節の試合結果を伝えると共に、上で述べた宮瀧譲治社長の試合後の挨拶についても「運営会社社長『一層の支援を』」の見出しで詳しく記事にしています。サブ見出しは「経営状況、改善策説明なし」と厳し目のトーンです。
9月22日の同紙23面には「神楽しまね9月分も未払い」の見出しで上述の公式アカウントのツイート内容が記事として掲載されています。
TV報道
2022年8月17日、NHKのローカルニュースで『サッカーJFL「FC神楽しまね」 運営資金確保で支援金募る』とのニュースが報じられました。
FC神楽しまねが資金難に陥っている現状と経緯についての説明に加え、緊急支援金の募集内容と支援方法についてもクラブ公式サイトの画像を使用しながら詳細に解説されています。
また支援金の使途についてクラブ側は「選手・スタッフの給与のほか、練習グラウンドの使用料やアウェー戦の遠征費などに充てる」と説明。あらためて支援をお願いするコメントを寄せています。
9月5日には上記第20節試合後の宮瀧社長と選手たちのやり取りが山陰放送(BSS)、さんいん中央テレビ(TSK)のローカルニュースで取り上げられました。