2024シーズンにおけるJFLからJ3リーグへの入会(昇格)条件をまとめました。
Jリーグ入会規定
2024年版のJリーグ入会に関する規定はJリーグ規約(2024年1月1日改正)の第17条[入会]に定められています。
第17条では(1)~(5)の5つの規定が定められており、この5つを簡単にまとめると次のようになります。
ポイント
(1)JリーグはJFLに所属し毎年9月30日までにJリーグに対し所定の入会申請を行ったクラブを審査し、J3に入会させることができる
(2)Jリーグ入会を希望するクラブはJ3クラブライセンスに関わる審査および調査を受けなければならない
(3)Jリーグ入会を希望するクラブは9つの入会要件を全て充足しなければならない
(4)Jリーグは理事会で上記要件に関する調査等の結果を踏まえて入会可否を審議し、結果を当該クラブに通知する
(5)入会は理事会承認の翌年1月1日にその効力を生じる
(3)を除く4項目は主に手続き上の規定なので特に分かりにくい点は無いかと思います。
そこで(3)に規定された9つの入会要件について詳しく見ていくことにします。
Jリーグ入会要件
Jリーグ規約 第17条 第3項に規定された9つの入会要件は次のような内容です。
※2024年2月27日付けでJリーグから「Jリーグ入会要件の改定について」のプレスリリースがあり(3)の⑤入場者数に関する基準が改定されています。
入会要件
① J3クラブライセンス審査に合格している
② クラブとしての活動実績がJ3会員として相応しいと理事会から認められている
③第16条[J3クラブの資格要件]を満たしている
即ち
・J1、J2またはJ3クラブライセンスの交付を受け、それが取り消されていない
・日本の法律に基づき設立された株式会社または公益社団法人である
④ 入会直前年度までに、安定的な支援組織の整備に向け取り組んでいる
⑤ 入会直前年度のJFLのリーグ戦におけるホームゲームの1試合平均入場者数が2,000 人に到達し、かつ年間入場料収入が1,000万円に到達していること(※審査日時点で達成していること)
⑥ 短期的に資金難に陥る可能性が極めて低いとJリーグが評価できる状態にある
⑦ 入会直前年度のJFLのリーグ戦最終順位が2位以内
⑧ クラブが株式会社の場合、大株主とJリーグとの直接の面談機会を設定し、別途Jリーグが定める宣言書に署名させ、Jリーグに提出している
⑨ 入会直前年度のJFLのリーグ戦最終順位が2位の場合、J3・JFL入れ替え戦に勝利している
まず①J3クラブライセンスの取得がJ3入会への大前提であり、その他に重要な要件としては⑤ホームゲーム入場者数・入場料収入、⑦JFLでの最終順位、⑨J3・JFL入れ替え戦での勝利が挙げられます。
また、これ以外の②活動実績・③国内法人・④支援組織・⑥財務状況・⑧株主の要件が充足できずにJ3入会が承認されなかった、という例は過去にありません。
以上のことから、Jリーグ(J3)入会要件について、まずは次のポイントに着目すれば良いことになります。
ポイント
・J3クラブライセンスを取得している
・ホームゲーム1試合平均入場者数が2,000 人に到達し、かつ年間入場料収入が1,000万円に到達している(※審査日時点で達成していること)
・JFLのリーグ戦最終順位が2位以内である
・JFLのリーグ戦最終順位が2位の場合、J3・JFL入れ替え戦に勝利している
なお、J3・JFL入れ替え方式についての詳細はこちらの記事をご参照ください。
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参考【2024】J3・JFL入れ替え方式
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J3入会候補
さてJFLに所属するクラブのうちJ3入会候補となるクラブはどれだけあるのでしょうか。
下記の表は2024シーズンのJFL参加チームとJリーグ入会意思有無、前年におけるJ3入会申請審査状況を示したものです。
JFLは将来のJリーグ入りを目指すクラブと、アマチュアクラブのまま活動を続けるクラブが混在しているリーグです。上の表で「J3入会意思」欄が「あり」のチームがJリーグ参入を目指しているクラブになります。
「J3ライセンス」欄が「〇」のクラブは2023年に2024シーズンのJ3クラブライセンスが交付されたクラブ、「入会審査」欄が「承認」のクラブはJ3への入会が条件付きで承認されたクラブです。入会承認を得たヴィアティン三重とクリアソン新宿はJFLでの最終順位が2位以内でなかったため2024シーズンのJ3入会は果たせませんでした。
「平均観客数」欄はJFL・2023シーズンにおけるホームゲーム1試合あたりの平均観客数(小数点以下切り捨て)を記しています(2024年度JFL昇格チームの栃木シティのみ関東1部リーグにおける平均観客数)。観客数の基準である平均2,000人以上に到達しているクラブはひとつもなく、2024シーズンは全てのJFLクラブについて昨季以上の観客動員努力が必要となります。
2023年にJ3クラブライセンスが交付されたにもかかわらず入会承認されなかったラインメール青森とヴェルスパ大分はホームゲームの1試合平均観客数が1,000人に満たず「2,000人に到達することを目指して努力している」と認められなかった可能性があります。またライセンス自体が交付されなかったレイラック滋賀は施設基準に、そして高知ユナイテッドSCは財務基準に不備があると指摘されており、これらのクラブについては各々の課題解決が求められています。
なお2024年6月30日に2025シーズンのJ3クラブライセンス申請が締め切られ、次の7クラブが申請を公表しました。
レイラック滋賀、ラインメール青森、ヴェルスパ大分、高知ユナイテッドSC、ヴィアティン三重、クリアソン新宿、栃木シティ
これらのクラブがJ3入会(昇格)候補ということになります。