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【2021 JFL】第30節 奈良クラブ vs 松江シティFC

2021年11月9日

プロモーションを含みます

試合前整列

2021 JFL 第30節
奈良クラブ 1 ー 0 松江シティFC
2021年11月7日(日) 13:00 Kick off
ロートフィールド奈良
観客 685人

松江シティの今節の対戦相手は過去4戦3勝1分けと相性の良い奈良クラブ

敵地ではありますが、3連勝中の勢いのままに勝ち点を奪取して松江に帰りたいところです。

スターティングメンバー

松江シティFC

松江シティスタメン

遠征帯同メンバーは前節・ティアモ枚方戦と全く同じです。

前節との違いは右のウィングバック。筒井俊に代わって今節は菅本岳がスタートから起用されています。

奈良クラブ

奈良スタメン

奈良クラブは前回対戦時と同様に4-3-3のフォーメーション。

起用されている選手も前回と大きくは変わっていません。

GKの赤塚怜選手は今季初スタメンとのことでした。

試合経過

前半

立ち上がりから中盤の攻防に終始し、なかなかシュートシーンが作れない両者。

序盤は奈良の方がよりアグレッシブにプレーしている印象で、松江のビルドアップの際にも奈良のFWの選手が常にDFにプレッシャーをかけ続け自由にプレーをさせてくれません。

22分にはGK井上亮太から佐藤啓志郎へのパスを背後から狙っていた寺村浩平選手にインターセプトされ、シュートまで持って行かれるという危ない場面もありました。

27分にもボールキープをしていた髙畑智也がパスの出しどころを探しているうちに片山滋永選手のチェックを受けてボールを失い、そこから波状攻撃を受けるなどピンチが続きます。

しかし30分前後から徐々に松江はボールを持てるようになり、奈良ゴール前のシーンも何度か作ることができるようになってきました。

36分には奈良ゴール前混戦状態からこぼれ球を松下大祐がシュート。

しかしこれはGK赤塚怜選手に阻まれます。

直後に今度は右サイドを突破した川中健太がGKの至近距離からシュートを放ちますが、これも赤塚選手がシュートストップ。

以後もやや松江がボールを保持しながら中盤での探り合いが続きますが互いに決定機は訪れず。

すると所定のアディショナルタイム3分を迎えようとしていた時間でした。

松江DFラインの裏に抜け出した片山選手にパスが通り、片山選手は対応に出た井上を交わして無人のゴールに流し込もうとしますがボールは僅かに枠を外れ得点ならず。

結局前半は両者スコアレス。奈良0-0松江で後半へ折り返します。

後半

両チーム共にハーフタイムでの選手交代はなし。

50分、奈良にビッグチャンス。

松江の右サイドのスペースでボールを受けた片岡爽選手が中央へ折り返すと桑島良汰選手がフリーでシュート。

奈良にとっては決定的な場面でしたがここはGK井上がファインセーブで防ぎます。

58分にまず松江が選手交代。

FW伊能玲生に代えて遊馬将也、左WBの辻川裕介に代えて筒井俊を投入。筒井は右WBに入り菅本が左WBに回ります。

60分、今度は奈良が選手交代。

左CBの平松遼太郎選手に代えて飯田真輝選手を投入します。

松江は細かいパスをつないで奈良ゴールに迫りますが、最後のパスの精度を欠き得点には至りません。

奈良の攻撃も松江DFが集中してよく跳ね返しており、前半同様両者共になかなかシュートを打てない状況が続きます。

68分に奈良は2枚替え。右ウィングの片山選手を森俊介選手に、右インサイドハーフの寺村選手を山本宗太郎選手に代えます。

70分には松江がセカンドトップの髙畑に代えて加倉広海を投入。

すると77分に遂に均衡が破れます。

松江の右サイドを駆け上がっていた森選手にロングパスが通ると、森選手は松下大祐を交わしてペナルティエリア内へ侵入し逆サイドへクロス。

待ち構えていた山本選手が右足でシュートを放つと最後は片岡選手が触ってゴールへ押し込み奈良に先制点。奈良1-0松江となります。

追いつきたい松江は82分に最後の選手交代。

ボランチの山本蓮を下げ桃井紳伍、右CBの松下に代えて泉宗太郎を投入。

同時にフォーメーションを佐藤啓志郎をアンカーに置いた3-3-2-2に変更します。

松江3-3-2-2

その後、松江は攻撃が活性化し厚みのある良い形の攻撃を見せる場面もありましたが、奈良の粘り強い守備の前に最後までゴールを割れず、奈良1-0松江で敗戦。

松江は4連勝とはならず、奈良に初の黒星を喫することになりました。

戦評

双方のシュート数は松江が4本、奈良が5本

お互い守備的に戦っていたわけではないのですがシュートをあまり打てていません。

「相手にシュートを打たせなかった」という言い方もできますし、シュートに至るまでの最後のプレー精度が低かったとも言えます。

松江と奈良には実力差があるわけではなく試合内容も似通ったものでしたのでスコアレスドローの可能性も十分あったのですが、結果としては奈良の執念が少しばかり松江を上回った形になりました。

奈良は今節引き分け以下で終わるとJ3昇格の可能性が完全に消滅するという瀬戸際に立っていました。駆け付けた大勢の奈良サポーターを落胆させることはできないという選手たちの気持ちが勝利を呼び込んだのかもしれません。

結果的には今節ヴェルスパ大分も勝利したことで奈良は昇格条件の一つである「百年構想クラブ上位2位以内」を満たせなくなり昇格は来季以降に持ち越されましたが、この日気持ちの入ったプレーで勝利を飾ったことでホームの観客を十分に満足させることはできたと思います。

さて、松江の方に話を転じます。

中3日の3連戦3戦目。ここまでスタメンもほぼ固定という状況でしたので、各選手疲労からか若干プレーにキレがなかったようにも見えました。

失点後に布陣を3-4-2-1から3-3-2-2に変えて、そこから攻撃が活性化した感はありましたが、82分からというのは少々遅かったかもしれません。ただ相手がフォーメーション変更に慣れるまでの短時間で最後の勝負をかける、という意図があったのであればそれはもちろん十分理解できます。

3-3-2-2で佐藤啓志郎がアンカーを務めたのは今季初めてでしたし、本来はウィングバックの泉宗太郎をインサイドハーフで起用するのも(過去何試合かやっているとは言え)定石通りではない試みで個人的には面白いと思いました。

この戦法で得点が取れていれば言うことはなかったんですが、それでも実信憲明監督の「何か変化を加えたい」「戦い方の選択肢を増やしたい」というチャレンジングな姿勢は評価すべきであると感じています。

今季もあと残り4試合。目標の1桁順位を目指しながらも来季を見据えて試合の中でどんどん新しい試みを実行し、戦術の上積みを図ってもらいたいものです。

次節の対戦相手

次節は11月14日(日)、松江市陸でヴェルスパ大分との対戦です。

ヴェルスパとは過去4戦、2分2敗で松江シティはまだ勝ったことがありません。

昨季のチャンピオンチームで現在3位に位置する強敵相手ですが、前々節は同じく上位のティアモ枚方に完勝している松江ですので、この試合もしっかり戦ってヴェルスパから念願の初勝利を上げて欲しいところです。

なおJ3ライセンスを保有し昇格を目指す各クラブは、少なくともこのヴェルスパを上回る順位でリーグを終えなければなりません。

ヴェルスパと勝ち点差6のF.C.大阪、勝ち点差9の鈴鹿ポイントゲッターズ、勝ち点差12のラインメール青森にはまだその可能性が残っています。

J3昇格レースを面白くするためにも、次節は各所で松江シティの勝利が望まれていることでしょう。

その期待を背負い是非とも勝利で応えてもらいたいものです。

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