■第24回日本フットボールリーグ(2022)第28節
FC神楽しまね 2-2 FCティアモ枚方
2022年11月6日(日) 13:00
松江市営陸上競技場
観客 701人
【得点者】 15分 森本ヒマン(枚方) 71分 加倉広海(しまね) 80分 髙畑智也(しまね) 87分 後藤圭太 (枚方)
【警告・退場】 ■ 42分 菅本岳(しまね) ■ 51分 後藤圭太(枚方) ■ 90+3分 垣根拓也(しまね) ■ 90+3分 後藤圭太(枚方)
第18節のヴェルスパ大分戦で勝利して以来、ホームではここ3試合勝ちがない神楽しまね。
今節の対戦相手は順位がひとつ下の13位・FCティアモ枚方です。
この日は好天に恵まれ、松江市営陸上競技場に今季最多701人の観客が詰めかけています。しまねとすれば大勢の観客の前で好ゲームを演じ、しっかり勝利を飾っておきたい一戦でした。
スターティングメンバー
FC神楽しまね
前節との違いは加倉広海に代わって田平謙がスタメン。田平はボランチに入り、佐藤啓志郎が2列目の中央を務めました。
加倉が入る場合は4-4-2のフォーメーションで2トップ気味にプレーをするのですが、この日は谷尾昂也ワントップの4-2-3-1。これは前節HondaFC戦の後半スタート時と同じ配置です。
また前節はアウェイ遠征費削減のためリザーブメンバーは馬場悠を外して6名で試合に臨みましたが、今節は馬場悠を入れた7名に戻しています。
FCティアモ枚方
枚方は成績不振のため2022年9月26日に小川佳純監督との契約解除を発表。後任監督にはGKコーチの武田博行氏が就任しています。
前半戦で対戦した際のフォーメーションは4-2-3-1でしたが、今回は4-4-2に変わっています。
リザーブに元日本代表の二川孝広選手や元Jリーガー・田中英雄選手が控えるなど、前回対戦時とはメンバーもガラリと変わっている印象です。
試合経過
立ち上がりのしまねは動きが硬くミスも散見されましたが10分過ぎた辺りから相手への寄せの速さや球際の強さを見せ始め、14分には相手ゴール前で厚みのある攻撃を仕掛けるなど得点の雰囲気も徐々に感じられるようになってきました。
しかし先制したのは枚方。
15分、下村尚文が自陣左サイドから右サイドの佐々木健人へ展開するために出した浮き球のロングパスが短くなり、このボールに追いついた大垣勇樹選手がヘディングで前方のスペースへパス。DF裏に抜け出してこのパスを受けた森本ヒマン選手が左足でシュートを放つとこれが決まって枚方に先制点。しまね0-1枚方。
その直後にも枚方は前線へのロングパス1本でチャンスを作り、最後は大垣選手がフリーでシュートを放つなどしまねは危ない場面を作られてしまいます。
本来自分たちがボールを握る時間を長くしたいしまねでしたが枚方にボールを持たれることも多く、攻撃時には雑なパスでチャンスを潰してしまうなどしまねはなかなかリズムをつかむことができません。
あまりにもピリッとしない試合内容に前半飲水タイムでは主将の垣根拓也が「恥ずかしいよ、こんな試合!」と大声で檄を飛ばす場面も。
枚方の前からのプレスとシンプルなロングボール戦術に手を焼いていたしまねも27分辺りから枚方を自陣に押し込むようになり、33分には枚方のバックパスをインターセプトした佐藤啓志郎がそのままゴール前まで侵入するビッグチャンス。しかし最後にシュートをしっかり打つまでには至らずチャンスは潰えてしまいます。
44分には枚方が再びロングパスからチャンスを作り、最後はゴール前でフリーになっていた島津頼盛選手がシュートを放ちますがここはGK井上亮太がしっかり防いで枚方に追加点を与えません。
結局前半はしまね0-1枚方で終了。しまねをひと言で評価するなら「低調」と言える前半でした。
後半は両チーム選手交代なしでスタート。
後半最初のチャンスはしまね。51分、ペナルティエリア手前の好位置でフリーキックを得ると髙畑の蹴ったボールを垣根がタイミングよく頭で合わせますがボールは惜しくもクロスバーの上。
後半開始から15分経過しても前半と余り状況が変わらないしまねは60分、最初の選手交代。
佐藤に替えて加倉広海、菅本岳に替えて山本蓮を投入します。
加倉は谷尾と並んで2トップを形成し、スピードと運動量を活かして枚方DFラインの裏のスペースを牽制するようになりました。
65分には加倉→髙畑とつないだボールを最後は垣根が受けてシュートを狙おうとしますが対応に来た薬真寺孝弥選手が一足早くボールをカットしコーナーキックに逃げられてしまいます。
66分にも髙畑のパスを受けた加倉が右サイドの佐々木に展開し、佐々木のクロスを谷尾が頭で合わせますがボールは僅かに枠外。
しまねは選手交代とフォーメーション修正が奏功し、交代前に比べて明らかに選手間の距離が良くなりました。その結果パスがスムーズに回り攻撃が活性化するようになります。
そして迎えた71分でした。
枚方のペナルティエリア手前で細かくパス交換したしまねは最後に山本がゴール右隅を狙ったコントロールシュート。これはGK奥野陸選手に弾き出されますが、こぼれ球に反応した加倉がいち早くボールをゴールへ蹴り込んでしまねが同点に追いつきます。しまね1-1枚方。
その後もしまねが度々枚方ゴール前に攻め込み勝ち越し点を狙う中で、78分のプレー。
ペナルティエリア内までオーバーラップしてきた佐々木が同じくエリア内にポジションを取っていた加倉に折り返しのパス。これを阻止しようとした後藤圭太選手の足が加倉の足に引っ掛かり加倉は転倒。しまねがPKを獲得します。
このPKを髙畑が冷静に決めてしまね2-1枚方。しまねが逆転に成功。
追いつきたい枚方は85分に一気に3枚替え(大垣選手→中田湧大選手、今掛航貴選手→二川孝広選手、井上翔太選手→田中英雄選手)。交代枠を使い切り勝負に出ます。
しまねも同じタイミングで2枚替え。髙畑に替えて石川健太、佐々木に替えて筒井俊を投入しました。
するとその直後の87分。
枚方がコーナーキックのチャンスを得るとこの流れから枚方が怒涛の連続シュート。枚方のシュートはクロスバーに弾かれたりしまねの選手にクリアされたりでなかなかゴールを割れませんが、最後はしまねにPKを与えた後藤選手がシュートを決めてしまね2-2枚方。枚方が最終盤に同点に追いつきます。
しまねは90分に谷尾に替えて遊馬将也を投入。アディショナルタイムの5分に勝ち越しの望みを懸けます。
試合終了間際にはしまねゴール前の小競り合いで垣根と後藤選手にイエローカードが提示され、既に1枚イエローを受けていた後藤選手が退場処分となる一幕も。
試合はしまね2-2枚方のスコアで終了。
しまねは今季初の逆転勝ちとはなりませんでした。
感想
前半の不出来
不甲斐ない序盤のしまねの試合運びに声を荒げて喝を入れた主将の垣根拓也。
初めて見る光景でした。
確かに前半のしまねは普段のアグレッシブさが全くなく、マイボールにしていてもボールロストすることがしばしば。
加えてミスから失点と「弛んでいる」と言われても仕方のない内容。せっかく沢山のお客さんが入ったのにこんな出来では垣根が怒声を上げるのも無理もないという感じでした。
それが選手たちのメンタルに起因するものであれば、例えばクラブの資金難解消の道筋が見えて気が緩んだとかどうしても良い方に考えたくなりますが、本当の理由は知る由もありません。
あるいはここしばらくスタメンがほぼ固定され選手間の競争が無いこともスタメン選手たちの緩みにつながった可能性があります。スタメンから外れた加倉広海や山本蓮が交代出場で気を吐き非常に良いプレーを見せたのも、危機感を持って試合に臨んだ結果だったのかもしれません。
いずれにしても今季の残り2試合、この日の前半のような気の抜けたプレーを2度と繰り返さないよう選手たちは肝に銘じてもらいたいものです。
戦績
今節、奈良クラブのJ3昇格が決定したため地域リーグへの降格枠は1つ減り、16位(最下位)チームのみが降格対象となりました。
神楽しまねは既に15位以上が確定していたので、これで(成績面での)JFL残留が決定したことになります。
残り2試合でどこまで順位を上げられるかですが、9位・鈴鹿ポイントゲッターズとの勝ち点差は「10」あるのでこれを上回ることはできません。勝ち点差「2」の11位・ホンダロックSC、勝ち点差「3」の10位・高知ユナイテッドSC、この2チームを上回る可能性は残っています。
何とか1つでも順位を上げられるよう最後まで力を尽くしてもらいたいです。
次節の対戦相手
次節は2022年11月13日(日)。アウェイで2位の奈良クラブと対戦します。
過去の対戦成績はしまねの3勝1分け2敗。以前はしまねが奈良には負けなしと好相性の相手でしたが、ここ2戦はしまねが奈良に2連敗しており力関係が変わってきています。
J3昇格が決定した奈良ですが首位・HondaFC、3位・FC大阪とは勝ち点55で並んでおり現在優勝争いの真っ只中。
ホーム最終戦でもありますし非常にモチベーション高く試合に臨んで来るでしょう。
しまねはかなり厳しい戦いを強いられると思いますが、ここを何とか乗り切ってもらいたい。
好ゲームを期待しています。