マッチリポート(2022年)

【2022 JFL】第29節 奈良クラブ vs FC神楽しまね

2022年11月14日

プロモーションを含みます

■第24回日本フットボールリーグ(2022)第29節

奈良クラブ 2-1 FC神楽しまね

2022年11月13日(日) 13:00
ロートフィールド奈良
観客 2,103人

【得点者】 23分 浅川隼人(奈良) 42分 加倉広海(しまね) 90+3分 都並優太 (奈良)

【警告・退場】   19分 田平謙(しまね)  36分 加藤徹也(奈良)   83分 加倉広海(しまね)  90+4分 都並優太(奈良)

2022シーズンも残すところあと2節。

今節、神楽しまねは奈良県に遠征し今季最後のアウェイゲームを戦います。

対戦相手は前節J3昇格を決めた奈良クラブ

試合前にはしまねの選手たちが奈良の選手の入場時に花道を作って迎えるガード・オブ・オナーで昇格に対する敬意と祝意を表明しました。

スターティングメンバー

FC神楽しまね

今節は垣根拓也が累積警告で出場停止。ボランチには田平謙が入って佐藤啓志郎とコンビを組みました。

また前節途中出場だった加倉広海がこの日はスタートから。

そしてリザーブメンバーからは石川健太馬場悠が外れ、澤島輝・桃井紳伍・堀田佳佑が久々にメンバー入り。

澤島は4試合ぶり、堀田は6試合ぶり、桃井は実に15試合ぶりのメンバー入りです。

奈良クラブ

奈良クラブは4-3-3のフォーメーション。

得点王争いをしている浅川隼人選手の得点力には要警戒です。

試合経過

前節のFCティアモ枚方戦では試合の入り方が悪く、自分たちのミスから早い時間に失点してしまった神楽しまね。

しかし今節のしまねは立ち上がりから非常に集中しており、前節の反省がしっかりと活かされていました。

11分には縦パスを受けた加倉が上手くマークを外してフリーになりシュートを放つシーンがありましたがGKアルナウ選手の好セーブに阻まれます。

その後もしまねは細かくパスをつなぎながら良く攻め、コーナーキックのチャンスを度々得るなど序盤は完全にペースを握っていた印象でした。

しかし19分、しまねが自陣でパス回しをしている際に奈良の前線の選手がプレッシャーをかけてボールを奪うと田平がたまらず後方からファウル。田平はこのプレーでイエローカードを受け、ペナルティエリア手前の絶好の位置で奈良がフリーキックを獲得します。

キッカーの可児壮隆選手が蹴ったボールはゴール右上隅に飛びますが、これを井上亮太が好セーブで弾き出しコーナーキックへ。

しかしこのコーナーキックの流れから奈良が連続攻撃を仕掛け、再び逆サイドでのコーナーキックを得るとショートコーナーから入れたクロスボールが髙畑智也の手に当たったということで奈良がPKを獲得。

このPKを浅川選手が決めて奈良1-0しまね。押していたと思われたしまねが23分に先制を許してしまいます。

先制点で勢いづいた奈良はその後ボールを支配し始めペースを奪い返すと、31分にはGKアルナウ選手のロングパスが前線の浅川選手に通り奈良に決定機。しかし浅川選手のシュートはGK井上が身体を張って阻み、奈良は追加点を奪えません。

奈良に押され始めたしまねでしたが、その後徐々に落ち着きを取り戻すと双方が攻め合うイーブンな展開に。

そして迎えた42分。アルナウ選手が前方へフィードしようとしたボールが詰めていた加倉の顔面を直撃。跳ね返ったボールはアルナウ選手に当たって加倉の前にこぼれ、これを加倉がすかさずゴールへ蹴り込んで奈良1-1しまね。しまねが思わぬ形で同点に追いつきます。

結局前半は奈良1-1しまねのスコアで終了。試合は後半へ向かいます。

後半は立ち上がりから互角の攻防を繰り広げる両者。

しまねは前からのプレスを緩めず、奈良のボールホルダーを複数の人数で取り囲み自由なパス回しを許しません。

それでも奈良は少ないパス数で一気に前線までボールを運び、しまねゴール前を脅かします。

後半飲水タイム明けの73分、しまねは最初の選手交代。左SHの髙畑に替えて桃井を投入。

ここまでハードワークを怠らずプレスをかけ続けたしまねでしたが、さすがに終盤のこの時間帯になると運動量が落ち始めます。

奈良がボールを持つ時間が次第に増え、しまねは自陣に押し込まれるようになりました。

78分、しまねは奈良にゴール前で連続シュートを浴び、あわや失点かという危ない場面も。

さらに81分の奈良。コーナーキックの流れからボールをゴールに押し込みますが、これは最後にボールに関与した選手がオフサイドポジションにいたということでノーゴール。しまねは助かりました。

83分にしまねは2枚替え。FWの谷尾昂也に替えて遊馬将也、右SHの菅本岳に替えて澤島を投入します。

選手交代はしたもののしまねはなかなか攻撃の糸口がつかめず、奈良の攻撃を跳ね返すのが精一杯の状況。

87分に加倉に替えて堀田を投入し、交代の手を打ち終えたしまねは再び前線の運動量を上げて攻撃を活性化しようと試みます。

しかし、しまねの前線には上手くボールが収まらず、逆に奈良にシンプルに前線へボールを送られ守備に忙殺される流れに。

攻める奈良、守るしまねという構図でアディショナルタイム4分のうち3分が経過。ドローも見えてきた時間帯でした。

しまねゴール前のクリアボールを拾った交代出場の嫁坂翔太選手が、後方に居た同じく交代出場の都並優太選手にパス。都並選手がペナルティエリア外の遠目の位置から左足を振り抜くと、ボールは井上の必死のセーブも及ばずクロスバーの下を叩いてゴールイン。

この劇的なゴールが決勝点となり試合は奈良2-1しまねのスコアで終了。

しまねにとっては非常に悔しい惜敗となってしまいました。

感想

試合の入り

前節の「ふんわり」した試合の入りには垣根主将が珍しく声を荒げましたが、今節はそこがしっかり改善されていたのは良かった点。欲を言えばその序盤の良かった時間帯に得点を決めておきたかったところ。

序盤、ペースを握っていたしまねがそれを手放したのは自陣でのパスミスがきっかけでした。これで相手に与えたフリーキックからの一連の流れで最終的にPK献上まで至っています。やはり強いチームは相手のミスを見逃さず付け入るスキを見つけると畳みかけるようにそこを突いてきます。しまねとしては実に不用意なミスでした。

奈良はフリアン監督がハーフタイムに喝を入れるほど前半の出来があまり良くなかったので、しまねとすれば序盤の自分たちのペースを維持できてさえいれば前半に失点することもなかったかもしれません。返す返すもあのちょっとしたパスミスが残念でなりません。

アディショナルタイムの失点

しまねは終盤に押し込まれて守備に追われたとは言え、試合トータルで見ると奈良とほぼ互角に戦っていました。それだけにアディショナルタイムの被弾が実に悔やまれます。

優勝争いで上位にいるチームはあのようなスーパーなゴールが劇的に決まってしまうものなのだな、ということを改めて実感した次第。

ただひとつ疑問に思ったのは試合開始からハードワークを続けていたしまねの前線の選手をもう少し早めに替える手はなかったのか、ということ。

しまねの最初の選手交代は73分。次の2枚替えは83分のタイミングです。これは明らかに遅い。

しまねがスタメンの選手を引っ張って使うことで前線だけでなくカバーするボランチやDFの選手も疲弊が進んだように個人的には感じています。その結果、しまねの全体の運動量が落ち奈良に自由な攻撃を許してしまったように思います。

もっともスコアはイーブンでしたし、アウェイのしまねとすれば積極的な選手交代をしてまで無理に勝ちに行こうとは考えていなかった可能性もあります。下手に動いてバランスを崩すよりも、できるだけスタートのメンバーのまま長く戦いタイスコアの状況を維持したい。実信憲明監督はもしかするとこのように考えていたのかもしれません。実際、あの奇跡的なゴールさえ決まっていなければ勝ち点1は持って帰れたわけですから。

色々書きましたが、いずれにしてもあんなゴールを決められてしまってはもうどうしようもありません。

決めた都並選手が見事だったとしか言いようがないです。

戦績

神楽しまねの順位は12位で変わらず。14位・ソニー仙台FCとの勝ち点差が「4」ですのでしまねの13位以上は確定しました。

また10位・ホンダロックSCとの勝ち点差が「5」に開いたため、しまねが10位以上になることはありません。

しまねと勝ち点差「3」の11位・高知ユナイテッドSCに勝ち点で並ぶ可能性は残っていますが、高知の方が得失点差で「6」上回っているため、これをひっくり返すのはかなり難しいでしょう。

しまねの現実的な目標としては、勝ち点差「2」で13位のFCティアモ枚方に順位を逆転されることなく12位をキープして全日程を終了する、ということになりそうです。

次節の対戦相手

次節はいよいよ最終節。2022年11月20日(日)、松江市営陸上競技場に9位の鈴鹿ポイントゲッターズを迎えます。

過去の対戦成績はしまねの1勝3分け2敗。負け越してはいるもののほぼ拮抗しています。

鈴鹿は第29節で三浦知良選手がスタメン出場しゴールを決めています。怪我などの不測の事態でもない限りおそらくカズ選手も登録メンバーとして松江に来るものと思われます。

松江市陸がたくさんの観客で埋まることを期待したいです。

そしてもちろん、神楽しまねにしっかりと最終節を勝利で締め括ってもらいたいです。

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