マッチリポート(2022年)

【2022 JFL】第5節 FC神楽しまね vs ソニー仙台FC

2022年4月11日

プロモーションを含みます

■第24回日本フットボールリーグ(2022)第5節

FC神楽しまね 0-2 ソニー仙台FC

2022年4月10日(日) 13:00
松江市営陸上競技場
観客 297人

【得点者】 51分 秋元佑太(ソニー) 69分 平田健人(ソニー)

【警告・退場】   47分 馬場将大(しまね) 

第3節・第4節と敗戦し連敗中のFC神楽しまね。特に第4節は5失点と守備が崩壊。

今節の対戦相手・ソニー仙台FCは4試合を終えて未だ勝利がなく、加えてひとつもゴールを上げていません。

神楽しまねとしては強豪・ソニー仙台が覚醒する前にホームで叩いておきたい試合ではありました。

スターティングメンバー

FC神楽しまね

神楽しまねは4ー4ー2のフォーメーションは変わらないものの、中盤の構成をボックス型からダイヤモンド型に変えてきました。

ここまでの全試合をFWの位置でプレーしていた川中健太がトップ下の位置に下がり、代わって加倉広海が2トップの一角で今季初スタメン。サイドハーフとして全試合スタメン出場していた清本将史はこの試合メンバー外となりました。

また右サイドバックで全試合スタメン出場だった菅本岳もメンバー外となり、そのポジションに松下大祐が起用されています。松下は今季初のメンバー入りです。

リザーブには佐々木健人・畝本諭が今季初めてメンバー入りしています。

ソニー仙台FC

ソニー仙台は昨季まで4-2-3-1のフォーメーションでしたが、今季就任した鈴木淳監督は4-3-3を採用。

昨季リーグ3位タイの12得点を上げている藤原元輝選手の得点力には要注意です。

試合経過

立ち上がりからボールホルダーに激しいプレスをかけてしまねを自陣に押し込めようとするソニー。

しまねも各選手が前線からプレッシャーをかけることを怠らず、共にプレスの掛け合いに終始する序盤。

攻撃に関してはしまねがアタッキングゾーンに侵入してもなお細かくパスをつなぎながらシュートチャンスを伺うのに対し、ソニーの場合はボールを奪取するとカウンターを発動して手数を掛けずに一気にしまねゴールを攻略しようとする構図。

ソニーのカウンターには迫力があり脅威でしたが、しまねの守備陣は落ち着いて対処しソニーにゴールを割らせません。

しまねは幾度かソニーDFラインの裏へ抜け出しチャンスを迎える場面もありましたが、こちらもソニーの守備陣に上手く対応されてシュートを打たせてもらえず。

お互いに攻め合いはしたものの双方決定機らしい決定機もなく、前半はスコアレスで後半へと折り返します。

後半になると早々に神楽しまねが失点。

51分、しまねがソニー陣内でボールを失うと、ここから平田健人選手が大きく左サイドへ展開。これを受けた藤原元輝選手がそのままドリブルで持ち上がり中央へラストパス。最後は秋元佑太選手がダイレクトでゴール右隅へ流し込みしまね0-1ソニー

ソニーは今季5試合目にしてこれが初得点。

警戒していたソニーのカウンターにやられ、しまねは先制点を許してしまいます。

勢いに乗るソニーはここから猛攻を仕掛けますが、しまねの守備陣が身体を張って凌ぎ追加点を与えません。

最初の選手交代はしまね。59分、FW谷尾昂也に代えて遊馬将也を投入。

しまねは長短のパスを織り交ぜながら何度もソニー陣内へ侵入し攻撃の機会を作りますが、サイドからのクロスも中央の縦パスも最後のところで精度を欠き決定機を生み出すことができません。

すると後半飲水タイム直前の69分、ソニーに追加点。

先制点の時と同様、ソニーが自陣でしまねのボールを奪取すると素早く中央の藤原選手へ展開。藤原選手は自陣からバイタルエリアまでボールを持ち上がり、並走していた平田選手にラストパス。そして平田選手がペナルティエリア外から右足でミドルシュートを放つとボールはGK井上亮太の頭上を通過してゴールイン。しまね0-2ソニー

しまねがまたもソニーのカウンターの餌食になってしまいました。

2点のビハインドを負ったしまねは73分に2枚替え。加倉広海に代えて瀬戸匠海川中健太に代えて澤島輝を投入します。

この交代でしまねのフォーメーションが4-3-3気味にシフトし、前線は遊馬をCFに左ウィングが澤島、右ウィングに瀬戸という配置になりました。

ソニーが2点リードしたことで無理に攻撃を仕掛けて来なくなったため、しまねがボールを持つ時間も増えてきましたが、パスワークでソニーの守備を崩す場面は見られず連動性を欠いた攻撃が繰り返されます。

86分にしまねは髙畑智也に代えて佐々木健人を投入。

サイドバックが本職である佐々木はそのまま髙畑が務めたインサイドハーフのポジションに入りましたが、常時高い位置を取り最前線でプレーする場面が多く見られました。

ポジションの自由度を上げて前線の数的優位を作り出そうとしたしまねですが、この試みも成果があったとは言い難く結局しまね0-2ソニーのスコアでタイムアップ。

ソニーは今季初勝利

一方の島根はこれで3連敗。順位をさらにひとつ下げて降格圏の15位に沈むことになりました。

感想

フォーメーション変更

前節5失点で大敗し、実信憲明監督がフォーメーションやメンバーにどのように変化をつけてくるのか注目していましたが、結局4-4-2のフォーメーションはそのままで中盤の構成をダイヤモンドに変えるという選択をしました。

2トップと近い位置に攻撃力と配球能力の高い川中健太を配置し、より攻撃的な布陣へと舵を切った格好です。

「大量失点をしたから守備の手当てをする」のではなく、むしろ「攻撃は最大の防御」という姿勢で臨んだことがまず驚きでした。

とは言えここまでの神楽しまねの得点は3試合で2点(そのうち1本はPK)という寂しい数字でしたから、いずれ攻撃面の改善には着手しなければならなかったわけで、それがたまたまこのソニー仙台戦だったという見方もできます。

このダイヤ型の布陣はJFL昇格後初めて公式戦で試すわけで、うまく機能するのかは全くの未知数。

不安を覚えながら見守りましたが結論として大きく破綻することもなく、従来よりも攻撃に若干厚みが出るなど一定の効果はあったように思いました。得点が取れていればなお良かったのですが。

しかし73分に瀬戸匠海・澤島輝が交代投入されてからの布陣はやや機能不全を起こしていたようです。

上でも述べましたが、この交代でしまねは4-3-3気味にシフトし、前線が左から澤島・遊馬将也・瀬戸の3トップのような構成になりました。しかし左ウィングの澤島の位置が終始低いのが気になりましたし、澤島自身のパフォーマンスにも前節ホンダロックSC戦のような躍動感がありませんでした。ポジションがいつもと違うので戸惑いながらプレーをしていたのでしょうか。

最後の佐々木健人の投入に至っては実信監督の意図するところが正直読めません。

おそらく右インサイドハーフを基本ポジションとしながら積極的にFWの位置まで上がって最前線で数的優位を作り出すよう指示を受けていたのだろうと推測しますが、効果があったとは言い難いです。なぜ守備的な選手である佐々木にその役割を任したのか?畝本諭ではダメだったのか?など疑問はありますが、現場でリアルタイムに進行している事象は現場の人間にしか分からないので、そこはコーチングスタッフの判断を尊重しようと思います。

いずれにしても選手交代や布陣変更により終盤はチームにバタつきが見られてしまったのが気になりましたし残念な部分でした。

闘う気持ち

神楽しまねの選手たちがピッチに入場する前に自らを鼓舞するため大きな声を張り上げているのが聞こえてきました。

今までももちろん声を出していましたが、あれほどまでに大きい声を聞いたのは初めてでした。

不甲斐ない試合をしてしまった後のホームゲーム。何としてもホームで勝ちたいという選手たちの気持ちが伝わってくるようでした。

実際この試合、守備面では身体を投げ出してでも止めるという泥臭さが戻っていましたし、そこは明るい材料と言えるでしょう。

3連敗と状態は良くないですが、自信を失って下を向くことだけはしてもらいたくない。

先制点を取られて「またか」と落胆するのではなく、昨季のように「これ以上失点はしない」「必ず追いつく」という強いメンタリティで闘って欲しいです。

GWのホーム2連戦はHonda・マルヤス岡崎と強敵が続き、その後もヴェルスパ大分・ヴィアティン三重と難敵が待ち構えています。

この過酷な闘いに挑む前に、まず次節きっちり連敗を止め、イヤな流れを断ち切っておく必要があります。

次節の対戦相手

次節は2022年4月16日(土)、アウェイでFCティアモ枚方と対戦します。

枚方はここまで5試合を戦い1勝2分け2敗勝ち点5で11位。

総得点8・総失点8と今季も出入りの激しいサッカーを継続しています。

過去の対戦成績は神楽しまねの1勝1分けで相性としては決して悪くありません。

ここで負けると残留争い一直線の神楽しまね。アウェイの地ではありますが、何とか勝ち点を奪取して連敗を止めてもらいたいものです。

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