FC大阪 2-1 松江シティFC
2020年 8月 2日(日)15:00 Kick off
服部緑地陸上競技場
リモートマッチ(無観客試合)
共に開幕戦を勝利で飾った両チーム。酷暑の大阪で連勝をかけて戦いました。
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スターティングメンバー
松江シティFC
松江シティのスタメンは開幕戦と同じ。リザーブメンバーに2名変更があり、中井栞吏(#14)・馬場悠(#44)に代わって西村光司(#9)・桃井紳伍(#27)がメンバー入りしました。
FC大阪
一方のFC大阪も開幕戦と同じスタメン。サブメンバーも開幕戦と全く同じです。
試合経過
前半
松江シティは今季初のアウェイ戦ということで緊張もあったのか、試合開始から全体的に落ち着かない雰囲気が漂っていました。開始僅か5分には下村尚文(#3)がペナルティエリア手前で相手選手を引き倒してイエローカードをもらってしまいます。
これで与えたフリーキックは「あわやゴールか」というコースに飛んだもののクロスバーに弾かれ事無きを得ますが、7分、FC大阪のボランチ・町田選手(#25)がゴールキーパーとディフェンダーの間にロングボールを送り込み、これを附木選手(#39)に頭で押し込まれて松江は早々に失点してしまいます。
以後、FC大阪は松江シティのボールホルダーに激しいプレスをかけ続け、松江が自由にボールを扱うことを許しません。
開幕戦のホンダロック戦でも見られたように、FC大阪は勝負どころと見るや一気に運動量を上げて相手の攻撃を寸断しショートカウンターを狙ってきます。そこには松江が浮足立っている序盤に追加点を奪ってゲームを楽にしようという意図も垣間見えました。
結局23分にクーリングブレイクで中断するまで松江は全く攻撃の組み立てができず、シュートも「0」に終わりました。
しかし、クーリングブレイク明けに試合の様相が一変します。
松江が自分たちのパス回しのリズムを取り戻し、FC大阪の選手がなかなかプレスに行けなくなりました。
そしてこの良い流れの中、右サイドでボールをキープした菅本岳(#11)がそのままドリブルでゴール前まで持ち込み、ニアサイドのゴール天井に突き刺す同点ゴール!
開幕戦でも攻撃センスの光った菅本が貴重な同点弾をいい時間に決めてくれました。
その後も松江のパスワークは大きく乱れることはありませんでしたが、FC大阪も決定的な場面は作らせず、膠着した状況が続き前半はこのまま1-1で終了するかと思われたアディショナルタイム。
FC大阪・舘野選手(#6)が左サイド(松江の右サイド)からゴール前にクロス。泉宗太郎(#18)がクリアのためキックモーションに入りかけていたところを後方から飛び込んできた水野選手(#10)がダイビングヘッドでゴール。一瞬のスキを突かれて勝ち越されてしまいます。
こうして前半は1-2のビハインドで終了しました。
後半
後半立ち上がりからも松江のパスは良く回っており、ボールをキープして攻める時間が長くなっていました。
1点リードしているFC大阪は無理に攻めには出ず、守備ブロックを形成してブロックの外側だけで松江のボールが回っていればそれで良し、と割り切った対応に終始します。
追いつきたい松江が攻め、FC大阪は慎重に守ってカウンターを狙う、という構図が後半は明確になりました。
一進一退の状況を打開するため、松江は60分に髙畑智也(#16)に代えて北原奨大(#32)を投入します。
北原は川中健太(#7)が務めていたフォワードの位置に入り、川中は髙畑のポジションだったインサイドハーフの位置に下がります。この日2トップの一角で先発した川中は、前半は左サイド、後半は右サイドに流れて下がり目の位置でつなぎ役になることが多かったので、インサイドハーフにポジションを変えたことで役割がより明確になり、中盤から数々の好パスを配給していきます。
62分、川中から右サイドの菅本に展開。菅本は後方から相手ゴール前にグラウンダーのパス。田平謙(#31)が体制を崩しながらシュートを放つものの枠外へ。
65分、泉からのパスを受けた酒井達磨(#19)のシュートはゴールキーパー正面。
69分、酒井から相手ディフェンスラインの裏に出たパスを北原が収め、ペナルティエリア内でシュートを打つもこれもキーパー正面。
そして74分には左ウィングバックの泉に代えて桃井を投入。桃井も良く決定機に絡みました。
77分、川中から右サイドの北原に展開。北原が上げたクロスに桃井が飛び込むもボールに触れず。
85分、川中からペナルティエリア左のスペースに浮き球のパス。桃井が走り込むが一歩届かずキーパーがセーブ。
86分には酒井に代えて西村を投入し最後まで攻撃を続けますが、結局スコアが動くことなく1-2のままで試合終了となりました。
戦評
試合後の監督インタビューでFC大阪の塚原真也監督は得点シーンについて「松江のファーサイドの高さが低いと分析が出ていたのでファー狙いのボールを入れる練習をしていた。練習の成果が出た」と胸を張り、敗れた松江シティの実信憲明監督は「相手のストロングポイントを抑えられなかったのが敗因」と悔しさを滲ませました。
FC大阪のストロングポイントは前線にフィジカルが強く高さのある選手を配し、前にめがけてどんどんボールを放り込む。そして前線の選手が多少アバウトなボールでもマイボールにして決定機につなげてしまう、というところにあります。
事前のスカウティングで松江シティもここは十分警戒していたはずですが、結果的に前への強さを活かされ2失点してしまいました。
コーナーキックやフリーキックなど、セットプレー時の放り込みには対処できていただけに、今後同じタイプのチームと対戦する際に流れの中で如何に前線へのロングボールに対処していくか、この辺りは課題になるかと思います。
一方で実信監督は「ただ松江が今季やろうとしていることができた収穫もある」と口にしています。
確かに前半クーリングブレイク明けから顕著になった松江シティのポゼッション能力は私も十分評価できると考えます。
試合開始序盤はFC大阪のロングボールやプレッシングに右往左往していた松江シティでしたが、リズム良くボールが持てるようになると、今度は逆に相手の積極的な攻撃を受ける回数が明らかに減りました。
この松江シティの戦法についてはFC大阪の水野選手も「相手に長くボールを持たれてキツい時間帯が多かった」と述懐しており実信監督が志向する方向性が間違っていないことを裏付ける発言のひとつと思っております。
さらに守備面について。
1点を追って前掛かりになっている後半でもリスクマネジメントがしっかりできていて、相手のカウンターに問題なく対処できていたのは好材料。
昨季までの例ですと、終盤どこかで集中力が切れて被弾するケースが結構あったのですが、この日は余計な追加点を最後まで与えませんでした。守備の集中が最後まで切れなかったのも評価ポイントです。
非常に悔しい敗戦でしたが、決して悲観するような内容ではなく、攻守両面で希望の光が見えた試合でもありました。