MIOびわこ滋賀 1 - 0 松江シティFC
2020年10月 3日(土) 13:00 Kick off
甲賀市陸上競技場
観客 190人
スターティングメンバー
松江シティFC
リザーブメンバー:
GK 井上亮太(#1)、MF 馬場将大(#5)・川中健太(#7)・佐藤啓志郎(#8)・菅本岳(#11)・泉宗太郎(18)、FW 中井栞吏(#14)
連敗中の松江は前節のスタメンから4人を変更。GKを井上→池藤聖仁(#30)、左CBを馬場将大→筒井俊(#13)、右WBを菅本→佐々木健人(#2)、2トップの一枚を川中→馬場悠(#44)としています。ここしばらくは失点数が多いことから、守備面を意識したメンバー変更を施しています。
そして手術のため離脱していた佐藤が今季リーグ戦初のメンバー入りです。
MIOびわこ滋賀
リザーブメンバー:
GK 笠原淳(#21)、DF 早矢仕久志(#2)、MF 園部凌平(#8)・嘉茂良悟(#10)・品川侑輝(30)、FW 竹下玲王(#17)・吉葉暉(#20)
一方のМIOびわこ滋賀は4-2-3-1の布陣です。
試合経過
前半
試合序盤はお互い相手の様子を伺いながらロングボールを多用したリスクを負わない攻撃の時間が続きます。
10分を経過した辺りから松江は滋賀のプレスをかいくぐってパスが良く回るようになり、ゴール前のシーンを作ったりもしましたが、最後ところで滋賀の守備を崩せず決定機には至りません。
23分、バックパスを池藤が前線にロングフィード。これを酒井達磨(#19)が頭ですらしたボールが右サイドの馬場悠へ渡り、そのままドリブルで持ち上がってゴール前へアーリークロス。田平謙(#31)が詰めて来ますが僅かに及ばずGKの永富選手にキャッチされます。
30分を過ぎても両者拮抗した状況は変わらず、双方ともシュートまで持って行くシーンが見られません。
ただボールを保持している時間はやや松江の方が長く、このまま松江ペースに持って行けそうな雰囲気は十分感じられました。
しかしその矢先に松江は滋賀に先制点を許してしまいます。
33分、松江陣内の中央付近でボールを受けた小畑選手が右サイドの内野選手に展開。内野選手は再度中央に寄りながらゴール正面の位置に居た松田康佑選手にパス。松田康佑選手はこれをダイレクトで坂本選手にラストパス。坂本選手には下村尚文(#3)が付いていましたが上手く身体を入れ替えられてシュートを許してしまい、これがゴール左隅に決まります。滋賀はこれがこの試合のファーストシュートであり前半唯一のシュートでした。
観客席から見ていて坂本選手はオフサイドではないかと思いましたが、副審の旗は上がらず。配信動画をリプレイで見ても非常に微妙な判定ですが、結局松江シティの選手たちのアピールも実らず滋賀1-0松江。
今季公式戦、先制された試合は全て黒星の松江。しかもペースを握りかけていたところだっただけに、先制点を献上して選手たちに幾分落胆の色が見えたような気がしました。
それでも時間はまだまだ十分すぎるほどありましたので、松江はまた徐々にギアを上げていき、37分には滋賀左サイドの深い位置でスローインの流れから混戦を抜け出した馬場悠がゴール正面の垣根拓也(#4)にパス。垣根→酒井→垣根のワンツーで垣根がシュートを放ちますが滋賀の選手が身を挺してシュートブロックし得点ならず。
結局スコアは動かず、滋賀1-0松江で前半終了。
松江が前半に放ったシュートは僅かに2本。攻めきれないまま終わった前半、という印象でした。
後半
後半は両チームとも選手交代なしでスタート。
後半も膠着した状況は変わらず。
互いにゴール前にクロスボールを供給するシーンこそありますが、シュートまでには至らず。
滋賀に立て続けに2本のコーナーキックを与えてしまった直後の57分に松江の実信監督は最初の選手交代。
馬場悠に代えて川中、髙畑に代えて佐藤を投入。佐藤は今季リーグ戦初出場です。
選手交代はしたものの、松江は滋賀の豊富な運動量とプレスに苦しめられ、ボールをロストする場面が目立ちます。
またフリーキック含め、ゴール前にロングボールを放り込んでも相手に競り勝てず、松江としてはなかなか攻め手を見いだせない状況になってしまいます。
すると滋賀にアクシデント。
センターバックの角田選手が治療のため一旦ピッチの外に出ますが、結局プレーは続行せず代わって早矢仕選手が66分に投入されます。
この直後の時間帯に田平のスルーパスに佐藤が抜け出して松江のサポーター席が大いに沸きましたが、シュート性のクロスは味方に合わず枠も捉えられず。しかしこれをきっかけに松江はルーズボールを拾えるようになり、パスをつないで滋賀陣内に攻め込む場面も増えてきました。
この流れで攻撃をさらに活性化させたい松江・実信監督は後半飲水タイム明けの70分、右ウィングバックを佐々木から攻撃力のある菅本にチェンジします。
すると73分、松江にビッグチャンス。
滋賀がパスカットしたボールを川中が奪い返し、これを一度は失ったものの今度は佐藤が奪い返して左サイドの酒井にラストパス。酒井は相手ディフェンスを交わして左足でシュートを放ちますが残念ながら枠を外れてしまいます。
その直後に滋賀が2度目の選手交代。
73分、ワントップの坂本選手に代えて竹下選手、左サイドハーフの松田康佑選手に代えて嘉茂選手が投入されます。
この交代で滋賀の攻撃が勢いを取り戻し、今度は松江が押し込まれる展開になったのですが、78分に松江はカウンターを発動。酒井が松江陣内から右サイドのスペースにロングパスを送り、これに追いついた菅本がゴール前にクロス。川中に合わせに行ったボールでしたがこれが合わず。絶好のチャンスでしたが得点にはなりませんでした。
79分には滋賀のチャンス。垣根がボールを奪取され、右サイドに流れていた久保選手がペナルティエリア内まで持ち込んでGK池藤と1対1。危ない場面でしたが池藤が見事にシュートストップ。しかも最後は池藤のボールキャッチで滋賀の攻撃を終わらせコーナーキックも与えないという粘りを見せます。
80分以降は1点差を守り切りたい滋賀のディフェンスが下がり気味になり、前線との間にスペースが生まれるようになってきます。松江はこのスペースを使って自由にボールが持てるようになり、滋賀陣内でプレーする時間が再び増えてきます。
85分にはこの試合で双方が最後の選手交代。
松江が酒井に代えて中井、滋賀が長谷川選手に代えて園部選手を投入します。
88分、左サイドをフリーで持ち上がった竹下選手が強烈なシュートを放ちますが池藤がセーブ。
さらに90+3分にも久保選手にミドルシュートを打たれ、これが完璧に枠を捉えますがまたも池藤がビッグセーブ。
そしてこの直後に試合終了の笛。滋賀1-0松江。
松江シティはリーグ戦3連敗を喫し、通算成績は4勝5敗。今季初めて負けが先行し、順位も暫定で7位に落ちました。
戦評
スタメン変更
実信監督の守備を重視したスタメン変更については概ね納得しています。
まず、ゴールキーパーの池藤。
失点の責任が全てキーパーにあるわけではないのですが、井上が先発していたリーグ戦では無失点試合がなく、また連敗中ということもありましたので、チームの雰囲気を変える意味でもここで池藤を起用してくるのは十分ありだと思いました。
池藤は1失点はしたものの、試合中好セーブを何度も見せてスタメン起用の期待に応えました。
またゴールキックやパントキックの距離が長く、会場でどよめきが起きるほど。使い方次第でこちらも大きな武器になる可能性があります。当面は池藤スタメンで良いのではないかと個人的には感じております。
次に3センターの左、筒井。
3センター中央のポジションでは加藤秀典(#39)の後塵を拝した筒井でしたが、この日は左サイドで全く問題なくプレーできていました。ただ筒井は本来が右サイドのプレイヤーなので、このポジションに完全に適性があるのかは正直分かりません。今後馬場将大が復活するのか、辻川裕介(#28)が台頭してくるのか、あるいは昨季のように下村が左に回るのか。その人選が読めないポジションではあります。
右ウィングバックの佐々木。
守備を安定させるという点においてこの起用は理解できるものでした。
少し気になったのは特に前半、右サイドを起点とした攻撃が左サイドに比べて少なく見えた点です。左ウィングバックの西村の調子が良かったので左を多用するのは全く問題ないのですが、もう少し頻繁にサイドチェンジして佐々木のサイドを使ってあげても良かったのではないか、とそういう感想を持ちました。
フォワードの馬場悠。
非常に良かったです。運動量も豊富でボールに良く絡んでいました。最後のトドメを刺すところで若干精度を欠いていたことだけが惜しかった。今後もコンディションや対戦相手との相性を見極めながら川中と併用ということで問題ないかと思います。
シュート数
ちなみにこの試合、松江のシュート数は僅かに3本。今季最少です。
もっとも相手の滋賀もシュートは4本ですから、お互い中盤での攻防が如何に熾烈だったかを物語っているとも言えます。
とは言え松江の3本はあまりにも少ない。
決して消極的な試合運びではなかったのに、シュートを打つ積極性はやや欠けていたように思います。
守備に関してやれる手は打ち、ある程度の成果も見えましたが、今度はこの攻撃の湿り具合にも対処が必要です。
松江シティは第24節のFC大阪戦を8月2日に消化済みのため、次の第25節ヴェルスパ大分戦まで3週間空きます。
フォーメーションの変更など抜本的な対策を施すには十分な時間が与えられています。
実信監督の修正力で攻守のバランスが取れた松江シティを3週間後には再び見られるよう大いに期待しています。