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2020 JFL 第25節 ヴェルスパ大分 vs 松江シティFC

2020年10月29日

プロモーションを含みます

昭和電工サ・ラA

2020 JFL 第25節
ヴェルスパ大分 3 - 3 松江シティFC
2020年10月25日(日) 13:00 Kick off
昭和電工サッカー・ラグビー場Aコート
観客 347人

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スターティングメンバー

松江シティFC

松江スタメン

リザーブメンバー:
GK 井上亮太(#1)、DF 佐々木健人(#2)・筒井俊(#13)・畝本諭(#15)・辻川裕介(#28)、MF 髙畑智也(#16)、FW 中井栞吏(#14)

従来の3-5-2で出場機会の多かった選手たちで構成された布陣で、変化点としてはこれまで途中出場が多かった北原奨大(#32)を2トップの一角としてスタメン起用。また右のウィングバックには、このポジションでは初起用となる桃井紳伍(#27)が抜擢されました。

ヴェルスパ大分

V大分スタメン

リザーブメンバー:
GK 長谷川凌(#31)、DF 本多琢人(#5)、MF 高橋宏季(#6)・篠原宏仁(#8)・藤本拓臣(#17)・村田勉(#30)、FW 前田央樹(#33)

一方の首位・ヴェルスパ大分は4-2-3-1の布陣でスタートです。

試合経過

前半

3週間ぶりの公式戦。しかもアウェイで首位相手のゲームだったので慎重な試合運びをしたかった松江シティでしたが、開始3分でいきなり失点してしまいます。
垣根拓也(#4)のクリアボールをヴェルスパの中村選手がヘディングで前に送り、これを後方から上手く飛び出した瓜生選手が収めてフリーでシュート。ゴールが決まってV大分1-0松江

以後はお互いが自陣でボールを回しながら機を見て前線へロングボールを供給するという形で攻撃の糸口を探りますが、なかなかシュートに持って行く場面までは見られません。
松江がボールを保持できる良い時間帯もあったものの、印象としてはヴェルスパがボールを持っている時間が長く、球際の強さも松江より勝っていると感じました。前半飲水タイムの直前にはハーフライン付近からのロングパスに反応した利根選手にフリーでシュートを打たれるという危ない場面もありましたが、ボールは枠を外れて松江は事無きを得ます。

そして飲水タイム明けの最初のプレー。松江は池藤聖仁(#30)のゴールキックを小気味よいパス回しで左サイドに展開し、西村光司(#9)が相手ゴール前にクロス。ヴェルスパの選手がクリアに行きますが、クリアボールはゴールエリア内で頭上高く舞い上がってしまい、酒井達磨(#19)とヴェルスパGK・姫野選手との競り合いになります。結局競り合いを制した酒井がバックヘッドでシュートを放ち、これがゴールラインを割って松江が1-1の同点に追いつきます。

同点ゴールで俄然元気が出た松江は運動量が上がり、果敢なプレッシングも奏功してヴェルスパにパス回しの余裕を与えず、また攻撃においてもヴェルスパ陣内に攻め込む時間が徐々に長くなっていきます。
44分には川中健太(#7)が左サイドから入れたパスにゴール前で待ち構えていた酒井が合わせ「ゴールか?!」という場面もありましたが、GK・姫野選手に阻まれ得点ならず。
そしてこの後の松江のコーナーキックの流れで問題のシーンが起こります。

コーナーキックをクリアしたヴェルスパはカウンターを発動。ドリブルで前線まで持ち上がった西埜植選手が並走してきた利根選手にラストパス。GK・池藤がシュートを阻止しようと飛び出した際に利根選手を倒したということでPKの判定
現地で見ていた時は池藤が先にボールに触れてコーナーキックに逃げ、そこに利根選手が突っ込んできて転倒したように見えました。そうであればPKの対象外です。そもそもボールに触れずに相手選手を倒してしまったのであればイエローカードが呈示されるはずですが池藤にはカードが出されていません。
このPK判定についての考察は後述します。

結局松江はこのPKを決められV大分2-1松江で前半終了。
先制されてから一度追いついたのに、前半終了間際に再び突き放されるという展開はまるで8月のFC大阪戦と同じです。
FC大阪戦はそのまま敗戦しましたので、嫌な雰囲気を感じながら後半へと向かうことになりました。

後半

後半開始からの15分間はお互い一進一退の攻防に終始し、なかなかゴール前まで迫るシーンが作れません。

状況を打開するために先に動いたのは松江。
61分に右ウィングバックの桃井に代えて佐々木、FWの北原に代えて髙畑が投入されます。
この交代で川中がFWの位置に上がり、それまでの川中のポジションは髙畑が務める形になりました。

するとその2分後、ヴェルスパ陣内で田平謙(#31)からのパスを受けようとした髙畑がペナルティエリア手前で倒され、ゴール中央から左寄りの絶好の位置でフリーキックを獲得。
そしてこのフリーキックを川中が見事に沈めて松江が同点に追いつきます。スコアはV大分2-2松江。

ここからは再び中盤でのボールの奪い合いが激しくなり、両者とも簡単には最前線までボールが運べなくなってきます。
ただプレスの強度やパス回しの回数はやや松江が勝っていたようにも感じました。

そこでヴェルスパは最初の交代。70分に2列目中央の中野選手を高橋選手に、ボランチの金子選手を篠原選手に代えてきます。
この交代を機にヴェルスパが松江陣内に押し込む場面が増え始めたため、須藤監督はこの流れに乗るかのように74分に再び二枚替えを敢行。ワントップの中村選手に代えて前田選手、左サイドハーフの利根選手に代えて藤本選手を投入します。

しかし勝ち越し点を奪ったのは松江の方でした。
79分、左サイドから西村が入れたクロスボールをヴェルスパの選手が頭でクリア。こぼれ球がペナルティエリアのライン際まで転がったところを垣根がダイレクトにミドルシュート。ゴール前に詰めていた酒井がこれを右足で合わせてゴールイン!
これでV大分2-3松江。今季先制された試合で初めて松江が逆転した瞬間でした。

だが喜びも束の間。その3分後の82分にはヴェルスパに同点に追いつかれてしまいます。
松江の右サイドから藤本選手がゴール前にクロスボールを入れますが、このときゴール前に居た高橋選手を松江のディフェンス陣が完全にフリーにしてしまいます。松江の選手の人数は十分足りていましたが何故か高橋選手の周囲だけ広大なスペースがあり、高橋選手は落ち着いてボールをコントロールし同点ゴールを決めます。V大分3-3松江

その後ヴェルスパは85分にセンターバックの福元選手に代えて村田選手を投入し交代カードを使い切ります。

88分辺りまではヴェルスパ陣内に攻め込む時間が長かった松江でしたが、アディショナルタイムに突入するとヴェルスパの怒涛の攻撃を受けることになります。
しかしヴェルスパのコーナーキックも決定的なシュートも池藤が何本も弾き出し決してゴールを許しません。

そして90+4分に酒井に代えて中井が投入された直後にタイムアップの笛。
V大分3-3松江
松江シティは連敗を「3」で止め、アウェイで首位・ヴェルスパ大分を相手に貴重な勝ち点1を手にしました。

戦評

松江シティは試合間隔が3週間空いたため、それまでの連戦の疲労が十分リカバリできているように感じました。
特に毎節スタメン起用だった酒井達磨はここ数試合、本来のプレーの切れが無くなっているようにも見受けられましたが、この日は従来の切れ味を取り戻しており、2ゴールを挙げてこれで通算7ゴール得点ランキングトップタイに並びました。

酒井だけでなく各選手ともコンディションは上々に見え、運動量も申し分なく、またパス回しのテンポも非常に良かったです。
前線で高さのある酒井・北原・西村が絡む攻撃は迫力がありましたし、試合終了間際には池藤の神懸ったセーブもあり、攻守において実に見どころの多かった試合だと思いました。

裏を返せば、これから残り5試合は毎週試合をこなしていくことになりますので、如何に選手たちの疲労を貯めないようにするかが鍵と言えます。メンバー選出や交代策をうまく回してできるだけチーム全体をフレッシュな状態に近づけるようにしなければならず、実信監督のチームマネジメント力が再び試されることになるでしょう。

この日、勝ち点1を加えたものの順位は前節の9位から11位とさらに後退しました。
しかし、もしヴェルスパ戦に勝利していたら順位は5位だったわけで、現在の5位から14位までが勝ち点3差というのは、ひとつの勝利で大きく順位を上げられるチャンスがある状態と言えます。

次節は1ヶ月ぶりのホームゲーム。私にとっては実に今季初のホームゲーム観戦となります。
今季現地観戦が許された松江シティの試合は「負け」→「引き分け」と勝ちがないので、次節は是非とも勝ってもらいホームの観客の皆さんと勝利の喜びを分かち合いたいものです。

前半ATのPK判定について

最後に池藤がPKを取られた前半アディショナルタイムのプレーについての考察です。
問題点を再度整理すると

池藤はボールに先に触れてコーナーキックに逃れ、その後に利根選手が池藤と交錯して転倒したように見えた

・もし池藤がボールに触れずに利根選手と交錯したのならばイエローカードが呈示されるはずだが実際は呈示されていない

・ではPKと判定された根拠は何だったのか?

まず、以下に日本サッカー協会HPに掲載されている競技規則第12条を抜粋して引用します。(一部筆者編集)

1. 直接フリーキック

競技者が次の反則のいずれかを相手競技者に対して不用意に、無謀に、または、過剰な力で犯したと主審が判断した場合、直接フリーキックが与えられる:

(中略)

・つまずかせる、または、つまずかせようとする。

身体的接触を伴う反則が起きたときは、直接フリーキックまたはペナルティーキックで罰せられる。

不用意とは、競技者が相手に挑むとき注意や配慮が欠けていると判断される、または、慎重さを欠いてプレーを行うことである。懲戒処置は必要ない。

おそらく「池藤がボールに先に触れていた」というのは主審も認めるところだったのでしょうが、その後利根選手と交錯した際、池藤は利根選手がつまずかないように注意や配慮をすべきだったのに、これを怠った、と主審に判断されたのでしょう。
現地観戦時は交錯の状況がよく把握できていませんでしたが、動画で確認すると確かに見ようによっては池藤がボールを弾きだした後、身体全体で利根選手の足を薙ぎ払っているようにも見えます。これが主審の目に不用意と映ったとしても仕方がないのかもしれません。またこの行為に対して「懲戒措置は必要ない」とありますから、イエローカードが出されなかったのも納得です。

以上は全て私の推論です。真相はこの日主審を務めた松尾明徳さんに聞いてみるしかありません。
DAZNでは毎節Jリーグで話題となった主審のジャッジについて検証・解説をする「Jリーグジャッジリプレイ」という番組があります。そういう番組でこのジャッジを取り上げて解説してもらえれば幾分スッキリするんですけどね。

それでは今回はここまで。
次回はホーム・松江市陸に参戦予定です。

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