マッチリポート

2020 JFL 第16節 松江シティFC vs ソニー仙台FC

2020年7月24日

プロモーションを含みます

勝利

2020 JFL 第16節
松江シティFC 2-1 ソニー仙台FC
2020年 7月19日(日)15:00 Kick off
浜山公園陸上競技場
リモートマッチ(無観客試合)

2020年7月18日、ついに待ちに待った第22回日本フットボールリーグ(JFL)が開幕しました。
本来は全16クラブが総当たりでホーム&アウェイの2試合を戦い、各クラブ年間30試合を消化する予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため前半の第1節から第15節が中止となり、JFLは後半の第16節から第30節のみが開催されることになりました。今年度の順位は原則この15試合で獲得した勝ち点によって決定されます。

松江シティFCは開幕日の翌7月19日に、前年度準優勝の強豪・ソニー仙台FCを浜山公園陸上競技場に迎えて、第16節の開幕戦を戦いました。

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スターティングメンバー

松江シティFC

2020第16節松江スタメン

松江シティのシステムは3-5-2。ディフェンスラインは左から馬場将大(#5)・筒井俊(#13)・下村尚文(#3)の3バック。中盤はアンカーの位置に主将の垣根拓也(#4)、インサイドハーフに田平謙(#31)・髙畑智也(#16)、ウイングバックの左に泉宗太郎(#18)、右に菅本岳(#11)。そして前線は酒井達磨(#19)と川中健太(#7)の2トップという布陣でした。

ソニー仙台FC

2020第16節ソニースタメン

一方のソニー仙台は4-2-3-1の布陣です。

試合経過

前半

前半は両者とも慎重な立ち上がり。
ソニー仙台はロングボールを使った攻撃が目立ち、再三松江シティゴール前にクロスボールを放り込みます。
しかし松江シティの3バックはこれらに落ち着いて対応し相手に好機を作らせません。

一方、松江シティが攻撃に転じる際はパスをつないで丁寧にビルドアップを試み、前線にボールを供給していきます。
攻撃はきちんとシュートで完結しており、中途半端にボール奪取されてカウンターを受けることもありません。

双方ほぼ互角の攻防に終始した前半でしたが、終了間際の45分にスコアが動きます。
ルーズボールを収めた田平謙が相手のチャージを受けながらもボールを左サイドに展開。これを受けた泉宗太郎が相手ディフェンダーを交わしてゴール前に絶妙なクロス。ゴール前で待ち受けていた酒井達磨が頭で合わせて松江シティ先制点
昨季開幕4試合目に大怪我を負ってシーズンを棒に振ってしまった酒井の見事な復活ゴール。嬉しいJFL初ゴールでした。

前半はこのまま松江シティが1-0でリードして終了します。

後半

後半になるとソニー仙台は2名の交代選手を投入してきます。
金井選手(#13)に代えて内野選手(#9)、佐藤選手(#8)に代えて秋元選手(#18)とし、前線の並びも内野選手を1トップに据えて藤原選手(#17)と山﨑選手(#10)の2シャドーに変え、交代で入った秋元選手はインサイドハーフの位置に下がってプレーします。
前半、1トップと2列目の距離感があまり良くないように見えたソニー仙台でしたので、前線の選手を思い切って2枚替えし、さらにシステムにも若干の変更を加えて攻撃への手を打ってきました。

2020第16節ソニー後半

しかし後半も前半同様互角の展開が続き、ソニー仙台の攻撃が劇的に活性化する様子は伺えません。

そうこうしているうちに松江シティに追加点が生まれます。63分のことでした。
川中健太に代わって58分に投入された北原大奨(#32)が右サイドのスペースに出されたボールに追いつき、そのまま相手ペナルティエリア内に持ち込んでシュート。これは相手GKにセーブされますが、そのこぼれ球にいち早く反応した垣根拓也がペナルティエリア外から強烈なミドルシュートをゴール左隅に叩き込み、松江シティが2-0とさらにリードを広げます。

その後も危なげない守備を見せていた松江シティでしたが、70分、左サイドからの相手コーナーキックの際、クリアボールが相手選手に渡ってしまい、石上選手に技ありのループ気味のシュートをゴール左上に決められてしまいます。ゴール前は人数揃えて固めていたので、これは石上選手のアイデアと技術を褒めるべきでしょう。

試合も最終盤に差し掛かってくると、ハードワークを繰り返していた松江シティの選手たちが体力の低下から徐々に相手選手に付ききれなくなり、決定的なピンチも幾度か迎えてしまいます。しかしそのピンチもクロスバーが防いでくれたり、相手がシュートミスをしてくれたりと幸運が味方し、結局試合は2-1で松江シティが勝利!強豪相手に開幕節を見事勝利で飾ることができました。

新生・松江シティFCの印象

システム

今季開幕戦でも昨季夏の中断明けから採用した3バックをそのまま継承していましたが、中盤と前線の構成が異なります。
昨季の中盤はダブルボランチで前線は1トップ2シャドーが基本でしたが、開幕戦ではアンカーシステムを採用し、アンカーの前に2枚のインサイドハーフ、前線は2トップという布陣に変えています。
この布陣を選択したのは垣根拓也の存在が大きいと思われます。
垣根はボール奪取能力に定評があり、ディフェンスラインの前で相手攻撃の芽を摘むのにもっとも適した選手であると言えるでしょう。ダブルボランチの一人ずつがカバーするエリアに比べてアンカー一人の守備領域は広くなりますが、開幕戦に関しては左右両脇のスペースを蹂躙されることもなく、上手く守備が機能していたと感じました。

またこうした中盤の底における守備と攻撃の明確な役割分担により、松江シティの攻撃の推進力が昨季に比べて強まったように思いました。
昨季は1トップがどうしても孤立気味になり、前線にボールを運ぶには宮内寛斗選手(現ヴェルスパ大分)の個人技に頼らざるを得ないケースが多々あったのですが、開幕戦ではインサイドハーフの田平・髙畑が攻撃に上手く絡み、また泉・菅本の両ウィングバックも守備に下がりすぎることなく効果的に自身のサイドのスペースを駆け上がって好機を演出しました。

開幕戦においてこのシステムは攻守のバランスが良く、機能していたように思います。

選手の意識

選手個々のプレーを見ていて思ったのは、皆がボールへの寄せが早く球際が強い。
「ボールを取りきる」「攻めきる」という「やりきる」姿勢が随所に見られ、昨季序盤に見られたような中途半端さが全くなくなっていました。
J3という上位カテゴリで戦っていた選手がたくさん加わったことはもちろん大きいですし、昨季から松江シティでプレーしている選手たちもJFLを1年経験したことで間違いなく経験値が上がっています。

実信監督が常々口にしている「ハードワーク」を選手たちがしっかりと実践し「戦う集団」に変貌しつつあったのは驚くべきことであり、また喜ばしい事実でもありました。

次戦が大事

ただ、まだ1試合が終わったに過ぎません。
シーズンを通して安定した戦いができるのか。次の試合の結果が大切です。
次節は8月2日、アウェイでFC大阪戦
FC大阪は開幕戦でホンダロックと戦い4-0で大勝しました。J3ライセンスを申請し来年度のJ3昇格を目指している強敵です。
このFC大阪戦こそ、松江シティの真価が問われる一戦となるでしょう。
開幕戦に続いてリモートマッチ(無観客試合)での開催ですが、TV画面の前で精一杯の声援を送りたいと思います。

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