F.C.大阪 0 ー 1 松江シティFC
2021年 5月29日(土) 13:00 Kick off
非公表
リモートマッチ(無観客試合)
大阪府の緊急事態宣言発令によりリモートマッチとなったこの試合、試合会場も非公表で開催されました。
F. C. 大阪は大阪府サッカー選手権大会決勝、JFL第9節、天皇杯1回戦に勝利し、公式戦3連勝中。
特にJFL第9節ではアウェイでHonda FCに2-0と完勝し、リーグ戦の順位を2位に上げています。
松江シティはF. C. 大阪と過去3回対戦し、全て敗戦。
難敵相手にアウェイでの戦いとなりますが、何とか勝ち点を奪って苦手意識を払拭したいところです。
スターティングメンバー
松江シティFC
ほぼ不動だった3バックの左右が変わりました。
左に今季初出場の馬場将大、右に開幕戦以来のスタメンとなった松下大祐を起用。
これまでDFラインの左右を務めた宮内真輝・筒井俊はベンチに控えていますから怪我以外の理由でのメンバー入れ替えということになります。
また左ウィングバックの泉宗太郎がリーグ戦では初スタメン。
そしてワントップに伊能玲生が久しぶりに先発起用されています。
F. C. 大阪
F. C. 大阪のフォーメーションは4-4-2。
ただ横並びの2トップと言うよりは田中直基選手がややワントップ気味で、高橋選手が若干下がり目の位置でプレーしているように見えました。
試合経過
前半
序盤は中盤の組み立てがうまく出来ていた松江シティがリズムをつかみF. C. 大阪ゴールに迫ります。
松江の各選手が運動量を上げて非常にアグレッシブにプレーしているのに対し、大阪の選手たちは攻撃の場面になっても複数の選手が前線に顔を出すわけでもなく、攻撃の迫力をやや欠いている印象でした。
しかし松江はゴール前にボールは運ぶもののシュートまでにはなかなか至らず、前半飲水タイムまでのシュート数は大阪が4本に対し松江は1本。
単発であっても大阪は攻撃がシュートで完結しており、試合の流れは徐々に大阪側に傾きつつあるかと思われました。
しかし先制したのは松江。飲水タイム明けの31分でした。
自陣のペナルティエリア付近から垣根拓也が右サイドに流れていた川中健太にパス。
川中が相手のチャージを受けながらも粘って前へ運び、前線のスペースに走り出していた伊能玲生にロングパス。
これを収めた伊能は相手フィールドプレーヤー2人に囲まれながらもボールをキープし、最後は対応に出てきたGK田中選手の指先を通過するロングループシュートを決めます。
大阪0-1松江。
その後、守備ではピンチらしいピンチもなく、攻撃では2点目が取れそうな雰囲気もあった松江でしたが40分にアクシデント。
相手とのヘディングでの競り合い時に顔面を強打した泉がプレー続行不可となり澤島輝と交代。
澤島が右のウィングバックに入り、右の菅本岳が左のウィングバックに入りました。
これまでの選手交代を見る限り、おそらくはハーフタイムでこの交代は予定されていたと思われますので、松江にとってはそこまで致命的な交代ではなかったのかもしれません。
前半アディショナルタイムには大阪にゴール前への侵入を許し「あわや失点か」という場面もありましたが、GK井上亮太が落ち着いて対処し、結局前半は大阪0-1松江で終了します。
後半
後半になると「ひたすら大阪の攻撃を耐える松江」という展開。
松江は自陣に押し込められ、ボールキープができなくなります。
得点が欲しい大阪は59分、FWの高橋選手に代えて澁谷選手、右サイドハーフの木匠選手に代えて後藤選手を投入し攻撃陣の活性化を図ります。
さらに大阪は68分には左サイドハーフの齋藤選手を川西選手に代え、攻撃的なポジションを次々とフレッシュな状態にして松江に襲いかかります。
松江は大阪の攻撃を跳ね返すのが精一杯。セカンドボールも大阪に回収され続け、全く攻め手がなくなってしまいます。
72分に松江はワントップの伊能玲生を遊馬将也に代えて攻撃面の打開策を講じますが、前線へのボールはただ前に蹴り返しているだけなのでなかなか遊馬に収まらず攻撃に繋がりません。
松江の守備陣は猛攻にさらされながらも非常に集中して守っていましたが、暑さの中で疲労も心配されましたし、攻撃を受け続けていればいずれ守備も決壊する怖れがありました。
おそらくは守備のバランスを崩したくなかったであろう実信憲明監督はギリギリまで選手交代を我慢していましたが、84分についに3枚替えを敢行します。
3バックの右・松下大祐に代えて筒井俊、左ウィングバックの菅本岳に代えて宮内真輝を投入。
これで3バックは左から「宮内ー下村尚文ー筒井」のいつもの並びとなり、左を務めていた馬場将大が菅本の居た左ウィングバックのポジションに入りました。
さらに左インサイドハーフの髙畑智也がこのタイミングで堀田佳祐と交代しています。
左右のウィングバック、馬場・澤島はDFラインの位置まで下がって5バックを形成し、大阪が攻めるスペースを消しにかかります。
大阪はさらに固くなった松江の守備網を崩せず、刻一刻と試合終了の時間が迫ってきました。
そして残すは4分のアディショナルタイムのみという時間帯。
松江DFラインの間を狙って放り込まれたボールに川西選手が反応。宮内が対処に行きますが、その際に足が川西選手の腹部に入ってファウルとなり、PKを献上してしまいます。
絶体絶命の松江でしたが、川西選手が蹴ったボールを井上亮太が左手一本で掻き出し見事にシュートストップ。
このビッグセーブ効き、結局大阪0-1松江で試合終了。
松江シティはF. C. 大阪に初勝利。アウェイで貴重な勝ち点3を奪取しました。
戦評
公式戦3連勝でこの日を迎えたF. C. 大阪に対し、松江は公式戦3戦勝ちなし(1分2敗)。
加えて過去の両者の対戦成績も大阪が3戦全勝で、しかも今回は大阪のホームゲーム。
大阪としては自信を持って臨んだ試合だったでしょうし、よもや負けるとは選手・スタッフ・関係者含め誰も想像していなかったように思います。
極めて精神論的な話になりますが、勝敗を分けたポイントはこうして生まれた「油断」だったのもしれません。
昨季の対戦では大阪のロングボール攻撃に苦しめられた松江でしたが、今節の大阪は最後のパワープレーを除けばほぼ地上戦を仕掛けてきており、これは松江にとって助かりました。
松江はJFL参入元年からロングボールを多用しフィジカル勝負でくる相手に対しては完全に力負けしていたのですが、逆にパスサッカーを挑まれた場合はそこそこ内容の良い試合をしていました。
今節の大阪が昨季同様にロングボール主体で攻めていたら、あるいは勝敗は逆になっていた可能性もあります。
もしかすると大阪の塚本監督は「ロングボール戦術でJ3に上がっても通用しない」ということで、今季は頑なにパスサッカーへのこだわりを持って戦っているのかもしれません。あくまでも想像でしかないのですが。
一方、松江シティの方ですが、比較的安定していた3バックの左右を替えてきたのは正直意外でした。
スタメンを続けていた宮内・筒井に疲労が蓄積していたのか、スタメン変更の理由については不明ですが結果的にはこの温存策が最終盤の逃げ切りに効きました。
実信監督がこうした展開を予想してメンバー選出をしたのであれば、その采配は見事だったと言う他ありません。
そしてこの試合のMVPは文句なくGKの井上亮太でしょう。
アディショナルタイムのPK阻止には本当に痺れました。
昨季は一時期、池藤聖仁にポジションを明け渡すこともあったのですが、今季の井上は非常に安定していますし、毎試合のように好セーブを連発しています。
今は控えに回っている池藤も良いGKですし、お互いが切磋琢磨しながら高いレベルで競争し、好調を維持してもらいたいものです。
次節の対戦相手
次節は6月5日(土)13時から浜山公園でのホームゲーム。
対戦相手はJFL昇格同期の鈴鹿ポイントゲッターズです。
鈴鹿はここまで松江より1試合多い10試合を消化し、4勝4敗2分の勝ち点14で6位に位置しています。
松江は9試合消化で3勝3敗3分の勝ち点12で11位。
順位こそ水をあけられているように見えますが、勝ち点差は僅かに2。勝利すれば順位を逆転できます。
今季は最初で最後の浜山開催となりますので、普段なかなか松江に来場できない出雲の皆さんの前で良い試合を見せてもらいたいですね。
浜山にたくさんのお客様が来場されることと、松江シティが勝利することを願っています。