松江シティFC 1-1 鈴鹿ポイントゲッターズ
2021年 6月 5日(土) 13:00 Kick off
浜山公園陸上競技場
観客 292人
2021シーズン唯一の出雲開催となったこの試合。
対戦相手はJFL同期昇格クラブ・鈴鹿ポイントゲッターズ。
三重県のまん延防止等重点措置発令によりアウェイ席は設けられず、残念ながら鈴鹿サポーターの方にはご来場をいただけませんでした。
この日は「島根でんきサポーティングマッチ」としての開催となりました。
スターティングメンバー
松江シティFC
前節との変化点は、まずボランチ。
通常は3バックの右を務める筒井俊がボランチの1枚として起用されました。
そして左のウィングバックに澤島輝。
澤島はこれまで右のウィングバックとしてプレーしていましたが、今季初めて左で起用されています。
前節、左ウィングバックで先発し前半で負傷交代した泉宗太郎はメンバー外。
泉にとっては古巣・鈴鹿との対戦ということで、おそらくはプレーするのを楽しみにしていたでしょうが、無念の負傷欠場です。
試合前の集合写真ではその思いを酌んで泉のユニフォームも共に掲げられました。
鈴鹿ポイントゲッターズ
鈴鹿のフォーメーションは4-4-2。
最も警戒すべきFWのエフライン・リンタロウ選手は前節に続いてメンバー外。
前節はスタメン起用だった藤沢ネット選手も外れています。
代わってFWに抜擢されたのは第2節以来のスタメンとなる川森有真選手でした。
試合経過
前半
試合開始から圧力をかけて前へ攻め込む松江シティ。
パスもよくつながり、相手ボールへの寄せも早く、鈴鹿に自由にボールを持たせません。
松江の選手の動きが良いせいか、鈴鹿の選手はどこか動きが緩慢な印象を受け、ベンチのミラグロス監督からはピッチの選手たちに度々叱責の声がかかります。
特に松江のビルドアップの際に鈴鹿の選手がフォアチェックに行かず、常に自陣に引いて受けに回っていることに対してミラグロス監督が激昂しているように見えました。
ボール保持率や決定機の数も松江が鈴鹿を上回り、完全に松江ペースの前半でしたが先制したのは鈴鹿の方でした。
ショートコーナーの流れから連続攻撃を仕掛ける鈴鹿は44分、野口選手がゴール前にクロスボールを供給。
ボールの落下地点には松江の選手が3人居たのですが、誰もボールを処理し切れず、こぼれ球にいち早く反応した川森選手がフリーで抜け出しシュート。これが決まって松江0-1鈴鹿。
川森選手のスタメン起用に応える先制点でした。
優勢に試合を進めていた松江でしたが、前半終了間際に手痛い失点を喫し後半へ折り返すことになります。
後半
後半は立ち上がりから鈴鹿がフォアチェックを徹底し、松江のディフェンスラインにプレッシャーを与え続けます。
自由にボールを扱えず、パス回しを封じられた松江はロングボールを多用して前線にパスを送り込みますが精度を欠き、なかなか攻撃の活路を見出せません。
両者が主導権争いを繰り返す中、56分、松江の同点弾が生まれます。
左サイドから髙畑智也が中央の川中健太に折り返すと、川中はこのボールをスルー。
これが右サイドの菅本岳への絶好のパスとなり、菅本がやや遠目の位置からシュートを放つと綺麗にゴール左隅に吸い込まれ松江1-1鈴鹿。
松江は願ってもない形で後半の早い時間に追いつくことができました。
同点に追いついたことで再び松江の選手たちの動きが良くなり、早い寄せと球際の強さで相手ボールを奪取すると左右両サイドの前への推進力を活かして再三鈴鹿ゴール前に迫ります。
一方の鈴鹿は松江DF裏狙いのロングボールやショートカウンターを駆使して迫力ある攻撃を仕掛け、松江のゴールを脅かします。
この日も松江守備陣はGK井上亮太を中心に粘り強い守備を見せ、ピンチの場面でも集中力を高めて凌ぎ切り、決して鈴鹿に得点を許しません。
松江は58分、髙畑に代えて遊馬将也を投入。
さらに79分には川中に代えて山本蓮、伊能玲生に代えて堀田佳祐と前線の3枚を全て代えて得点を狙いに行きます。
交代出場の山本も堀田も良くボールに絡み得点の可能性を感じさせますが、あと一歩のところでゴールには届きません。
終了間際の89分には左CBの馬場将大を宮内真輝に代え、失点リスクを回避する手堅さを見せた松江シティは、狙い通り1失点のまま踏ん張りましたが最後まで得点も奪えず。
双方に勝機のあった試合は結局松江1-1鈴鹿で終了。
両者が勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。
戦評
今季の松江シティの試合の中で攻撃時の前への意識が一番感じられた試合でした。
試合を重ねるごとに連携面は充実しているようです。
今季初めてウィングバックの左右が入れ替わりましたが、澤島輝は右よりも左の方がその攻撃力が活きるような気がしました。左サイドから中に切り込んで右足で放つシュートは、今後も相手チームにとって脅威になるのではないでしょうか。
またこの試合、ボランチで起用された筒井俊。
パスやロングフィードの正確性には定評がありますし、この日も前への推進力を高めるのに一役買っていたように感じました。
一方でボランチが本職の田平謙・佐藤啓志郎・畝本諭が揃ってメンバー外というのが少々気になります。怪我などによる長期離脱でないことを願います。
守備面に目を転じますと、今節も非常に集中して良く守っていました。
今季ここまで松江シティの総失点数11はリーグ5位タイの少なさ。
過去10試合で複数失点した試合は開幕戦のソニー仙台戦、ホーム開催のヴィアティン三重戦・ラインメール青森戦の3試合でいずれも敗戦しています。
逆に1失点以内に抑えた7試合は負けていないわけで、少なくとも「複数失点しなければ負けない」という自信がついているのではないでしょうか。
現在は得点力不足を守備力で補い勝ち点を積んでいる松江シティですが、先に述べたように攻撃の連携面は向上していますし、いずれ得点力も上がってくると期待しています。
それまでは今の守備に破綻をきたさないよう辛抱強く戦っていくことが肝要でしょう。
次節の対戦相手
次節は6月13日(日)、アウェイでいわきFCとの対戦です。
いわきFCは11試合を消化し未だ無敗で首位。目下、J3昇格候補筆頭の強敵です。
昨季の対戦では先制点を奪ったものの終わってみれば、いわき3-1松江と逆転負けを喫してしまいました。
いわきFCの攻撃を松江シティの守備陣がどう抑え込むか。
また松江シティの攻撃陣はいわきFCの守備網を突破できるのか。
非常に楽しみな一戦です。