松江シティFC 2-0 FC刈谷
2021年 5月2日(土) 14:10 Kick off
松江市営陸上競技場
観客 321人
試合開始前からかなりの強風が吹き荒れていた松江市営陸上競技場。
キックオフ直前にメインスタンド右手側のゴールマウスが風でなぎ倒され破損するという一大事が発生。
ゴールマウスの修繕と安全確認にかなりの時間がかかり、13:00の予定だったキックオフが1時間10分遅れの14:10になってしまいました。
掲揚されていた両クラブのフラッグやJFL旗も安全を考慮して撤去され、通常はトラック上に設置されるテントの類もすべて引き上げた状態で試合が開催されることに。
アクシデント発生にもかかわらず、試合成立まで尽力していただいたご関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
スターティングメンバー
松江シティFC
当日のマッチデープログラムで判明したのですが、実は前節・ホンダロック戦はこれまでの垣根拓也をアンカーに置いたシステムではなく、垣根と田平謙でダブルボランチを組むシステムに変えていたとのことです。
確かに田平に代えて畝本諭が投入されてからはダブルボランチ気味のポジションと思っていましたが、スタートからこのシステムだったとは気付きませんでした。
中盤の底が2枚になったことで前線にも変化があり、これまでの2トップから1トップ2シャドーの形に変わりました。
1トップはボールが良く収まる遊馬将也ではなく、堀田佳佑。2シャドーに遊馬と髙畑智也が配置されています。
また開幕戦以来メンバー外となっていた松下大祐が久しぶりにリザーブメンバーとして復帰しました。
FC刈谷
FC刈谷のフォーメーションは4-4-2。
ウォーミングアップの段階からその独特の風貌で存在感のあった勝又慶典選手と、米子北高出身で元ガイナーレ戦士の山本大希選手が2トップを組みます。
またベンチにはかつて松江シティに在籍していた長谷川翔平選手が控えています。
試合経過
前半
開始わずか3分にいきなり松江シティが先制します。
刈谷の攻撃を防いだ松江は菅本岳が自陣から前線にロングボールを送ると左サイドでこれを受けた堀田が逆サイドを駆け上がっていた髙畑に展開。
髙畑はこのボールを受けると右サイドから中央に切り込みペナルティエリア手前の位置から左足でミドルシュート。
これが決まって松江1-0刈谷。
髙畑はこれが今季3ゴール目。好調をキープしています。
先制点を取られた刈谷もパスをつないで松江ゴールに迫るシーンを何度か作り得点機を伺いますが、松江は粘り強い守備で刈谷に決定機を与えません。
迎えた33分。
刈谷GKからのビルドアップ時のパスが少しズレてしまい味方選手が受けられずルーズボールになってしまいます。
ここに田平が詰め、前線に残っていた遊馬にダイレクトパスを送ると遊馬はこのボールを落ち着いてゴール右隅に流し込み松江に追加点。松江2-0刈谷。
遊馬は嬉しい今季初ゴールです。
結局前半はピンチらしいピンチもなく、刈谷のシュートを1本に抑えた松江が2点のリードで前半を終えます。
後半
2点のリードを追う刈谷は後半スタートから選手交代。
右サイドハーフの西原選手に代えて蛭田選手が投入されます。
後半、風上の刈谷は積極的に攻勢を仕掛け松江ゴールを脅かします。
前半はパスをつないで松江陣内に攻め込んでいた刈谷でしたが、後半になるとロングボールを多用して松江DFラインの裏を狙う攻撃に切り替えてきました。
松江はこの攻撃にも慌てず落ち着いたラインコントロールで刈谷の前線を度々オフサイドにかけ攻撃の芽を摘んでいきます。
試合がやや膠着する中、64分に刈谷は2枚替え。左右サイドバックをそれぞれ坂本選手から長谷川選手、渡邊選手から田中選手へと交代します。おそらくはサイド攻撃に活路を見出そうとしたのかもしれません。
しかしこの日も松江の前線の選手たちは前からの守備をサボらず、またチーム全体の運動量も試合終盤に差し掛かっても落ちず、ボールホルダーに常時プレッシャーをかけて刈谷に攻撃の自由を与えません。
松江の最初の選手交代は74分。1トップの堀田に代えて川中健太が投入されます。
この交代で1トップには遊馬が入り、遊馬が務めていたポジションに川中が入る形になりました。
その後83分には刈谷は2トップを中野選手・村上選手に代え、ゴールを狙って攻め続けますが、松江の守備陣は最後まで集中した対応でこれを凌ぎ、松江2-0刈谷のスコアのままタイムアップ。
松江シティが今季2勝目をクリーンシートで飾りました。
戦評
松江シティが3バックは変えずにダブルボランチ+1トップ2シャドーに変更したのは、おそらくは従来のインサイドハーフの役割をより明確にしたかったのではないかと推測しています。
従来は例えばインサイドハーフが田平・髙畑のセットの場合、お互いが攻守のバランスを取りながら攻撃に絡んでいたのですが、なかなかチームの得点力が上がって来ない現状もあり、田平を守備的なポジションに下げ、逆に髙畑を攻撃的なポジションに特化させることでその得点力に期待したのではないか、と。
思惑通り髙畑はこの布陣で2試合連続ゴールと結果を出していますから、フォーメーション変更はまず成功だったと言えるでしょう。
一方でFC刈谷の方に目を向けますと、攻撃の形はある程度できていましたし「あとはフィニッシュだけ」という感じで内容的にはとても7連敗を喫するようなチームには見えなかったです。
この苦しみ方はJFL参入年の松江シティに似てるな、と。
決して内容は悪くないと思えるのに結果が出ない。
個々のプレーで言えば「これは決まった」と思ったシュートが粘りの守備で間一髪弾き出されたり、ちょっとしたミスを失点につなげられたり、地域リーグでは通用していたこと・許されていたことがJFLではあと一歩のところで通用しないし致命傷にもなる。
これらはいずれもかつては松江シティが思い知らされたことでした。
とは言え、刈谷にとってJFLは未知の世界ではなくかつてはそこに居た場所。
その刈谷ですらこれだけ苦しんでいるのですから、松江シティがJリーグ参入を目指すならば、一度手に入れた「JFLのクラブ」という立場は来たるべき日まで絶対に手放してはならないな、とあらためて感じました。
次節の対戦相手
次節はアウェイで東京武蔵野ユナイテッドとの対戦となります。
武蔵野はここまで5試合を消化し3分2敗と未だ勝ちがありません。消化試合数が少ないということもありますが順位も14位と苦戦しています。
武蔵野はホームゲームでもありますし、初勝利を目指して強い気持ちで挑んでくることでしょう。
松江シティにとっては過去2分1敗と勝てていない相手ですので難しいゲームになるとは思いますが、何とかアウェイの地で勝ち点を奪取できるよう奮闘してもらいたいです。
中3日と試合間隔が短いので、松江シティは少しメンバーを替えてくるかもしれません。
運動量が要求される左右ウィングバックや毎試合ピッチ全体を走り回っている堀田・髙畑あたりも疲労度合いによっては時間限定の出場となる可能性もあります。
もっともこの武蔵野戦の後は試合間隔が10日間空きますし、結果が出ているスタメンですから多少の疲労があっても敢えて替えずに試合に臨むことは十分予想されます。
実信憲明監督のマネジメントにも注目ですね。
緊急事態宣言の発令により残念ながらこの武蔵野戦はリモートマッチ(無観客試合)となってしまいました。
昨年・一昨年と武蔵野陸上競技場の松江シティ応援席にはたくさんの松江シティファンが詰めかけており、今年もおそらく多くの方が普段は見られない生の松江シティ戦を楽しみにされていたことと思います。
今回は非常に残念なことにリモート観戦となってしまいますが、画面の前で共に松江シティの選手たちに声援を送りましょう。
私もモニター前から勝利の念を送り続けます。