マッチリポート(2022年)

【2022 JFL】第9節 FC神楽しまね vs ヴィアティン三重

2022年5月31日

プロモーションを含みます

■第24回日本フットボールリーグ(2022)第9節

FC神楽しまね 0-1 ヴィアティン三重

2022年5月28日(土) 13:00
島根県立サッカー場
観客 350人

【得点者】 35分 菅野哲也(三重)

【警告・退場】   38分 野垣内俊(三重)   58分 川中健太(しまね)

2022シーズン、FC神楽しまねはホームゲーム15試合のうち3試合を益田市の島根県立サッカー場で開催します。

この日は今季初の益田開催試合。

石見神楽鍾馗も来場しスタジアム内外を盛り上げていました。

スターティングメンバー

FC神楽しまね

前節・ヴェルスパ大分戦で負傷交代した松下大祐に代わり筒井俊が右のサイドバック。

筒井が務めていたアンカーのポジションには大卒ルーキーの澤田理玖が抜擢されました。

2トップの一角には同じく新加入の清本将史加倉広海は控えに回っています。

FCマルヤス岡崎

ヴィアティン三重は4-4-2のフォーメーション。

前節のFC大阪戦からは3人のメンバーが入れ替わっています。

試合経過

立ち上がりこそアグレッシブに敵陣に攻め込んだしまねでしたが、徐々に三重にボールを支配されるようになると11分・13分と立て続けに三重に決定的なシュートを許してしまいます。

しかしいずれも間一髪ポストに弾かれ、しまねとしては運が味方についてくれている序盤という印象。

三重の激しいプレスに苦しみ自陣でインターセプトされてはピンチを招いていたしまねも15分を過ぎたあたりから三重陣内でプレーする時間も増え出します。

前半飲水タイム前後の時間帯はしまねが細かいパス回しをしながら再三三重ゴール前まで迫り、枠内シュートも3本放つなど完全にしまねがペースを奪い返した感がありました。

しかし35分。

しまねは左サイドのスペースで橋本拓門選手をフリーにしてしまい、そのままボールを持ち込まれ中央のスペースへの折り返しを許すと、ここへ走り込んできた菅野哲也選手が右足でダイレクトシュート。これが決まって三重が先制

しまねは一瞬の隙をつかれて先制点を献上してしまいます。

その後は両者互角の攻防を繰り返し、このまま三重が1点をリードして前半が終了。

後半、しまねはアンカーの澤田理玖に代えて澤島輝を投入。澤島は右サイドバックに入り筒井俊がアンカーのポジションに移動します。

後半になると三重のプレスが再び機能するようになり、しまねは自由なパス回しを封じられパスミスも目立つなど効果的な攻撃ができなくなります。

56分に川中健太のパスを受けた清本将史がゴール右隅を狙ったシュートを放つものの枠外。結局後半にしまねが放ったシュートはこの1本のみ。その清本は58分にベンチに下がり、代わって加倉広海が投入されます。

63分には三重がしまねゴール前で決定的なシュートを放ったものの池藤聖仁が好セーブで弾き出し三重に追加点を与えず。

しまねは66分、FWの川中に代えて菅本岳を投入。

この交代でしまねはフォーメーションを4-4-2から4-2-3-1に変更。加倉をワントップに置き、2列目に左から菅本・佐藤啓志郎髙畑智也、そして田平謙と筒井がダブルボランチを組む、という布陣にしました。

布陣変更でまたボールが回るようになったしまねでしたがシュートにまでは至らず。

試合も終盤に差し掛かりリードしている三重がさらに守備意識を高めてきたことでしまねはなかなかシュートチャンスを与えてもらえません。

80分には左サイドバックの馬場将大に代えて石川健太、トップ下の位置に居た佐藤に代えてFWの谷尾昂也を投入し交代の手を打ち終えたしまね。谷尾はワントップに入り、加倉は1列下がってトップ下にポジションを変えました。

すると85分。しまねは左サイドから石川が入れたクロスボールを加倉が頭で合わせてゴールイン。

同点弾かと思われましたが加倉がヘディングシュートの直前に三重の選手をプッシングで倒したとしてノーゴール

直後の87分、今度は三重がしまねのゴールネットを揺らしますがこちらはオフサイドの判定。

結局しまねは最後まで三重の守備を崩せず、しまね0-1三重のスコアでタイムアップ。

しまねはこれで8試合連続勝利なし連続無得点試合は「6」に伸びてしまいました。

感想

守備

失点の場面、菅野選手のミドルシュートは見事でしたし池藤としてはノーチャンス。

問題はシュートに至るまでのところでしまねがエアポケットに落ちてしまったかのようにあっさりとマークを外しスペースを与えてしまったところにあります。

それ以外ではよく守れていたのであの失点の一瞬だけが非常に勿体なかった。

三重も開幕3連勝の後、2敗3分けと5試合勝ちがなく決して調子が良いとは言えなかったのですが、ワンチャンスを仕留めるしたたかさ・勝負強さはさすが三重といったところでしょうか。

逆に言うとこの試合に限らず接戦を落としてしまうしまねの勝負弱さが際立っているとも言えます。

攻撃

しまねが昨年同様得意のロースコアの勝負に持ち込んでいるのに勝ち点が積み上がっていかない理由は明白。

9試合で総得点2。1試合の平均得点0.22では勝ち点3を取ることなど全く持って困難です。

ただこの試合で攻撃面でのポジティブな要素を挙げるとすれば、FWで起用された清本に可能性を感じた点。

シュートの精度は課題ですが川中とのコンビネーションも悪くないですしFWの選択肢が広がるのは歓迎すべきこと。

清本がスタメン定着すれば加倉をスーパーサブとして使えます。相手が疲れた時間帯に加倉のような運動量豊富なFWが出てくるのは相手にとって間違いなく脅威になります。あとは清本が結果を出すまで実信憲明監督始めコーチングスタッフがどれだけ辛抱強く起用を続けるか。その胆力も試されそうです。

もうひとつ前向きな点を挙げると、菅本投入で布陣を4-2-3-1に変えたところ。

現在のスタメンは表向き中盤ダイヤモンドの4-4-2ですが、守備時はトップ下の田平がアンカーの筒井の隣まで下がってダブルボランチのような格好になります。

守備はこれで安定するから良いのですが攻撃時に田平が積極的にトップ下まで上がって数的優位を作っている場面はあまり見られず、それならむしろ最初から田平・筒井(もしくは佐藤)のダブルボランチをベースにフォーメーションを組んだ方が役割がはっきりして良いのではないか、というのは前々から感じていました。

今回スタートからではなく試合途中からではありましたが田平・筒井がダブルボランチを組み、2列目に攻撃的な選手を3人を並べる布陣に変えています。

個人的にはこの布陣の方が攻撃に厚みも出るし守備もそう容易く破綻しないので良いのではないかと。

この試合では見られませんでしたがワントップにロングボールを入れて2列目が押し上げるという攻撃もこの布陣なら効果を発揮しそうです。ただワントップに強力なポストプレイヤーが必要ではありますが。

いずれにしてもこれだけ点が取れない状況でなので、人あるいは布陣を変えて何とか現状を打開しようとする意図は十分に伺えました。

今回は得点という結果にはつながりませんでしたが結果は一朝一夕についてくるものでもないですし、とにかく今のメンバーでできることは何であろうととことん試して欲しいものです。

それでもなお低空飛行が続くようであれば夏の移籍期間でのストライカー補強はマストになってくるでしょう。

順位

今節、MIOびわこ滋賀が勝利したため神楽しまねは降格圏の15位に転落してしまいました。

今季はJ3参入要件にホームゲーム観客数平均2,000人以上の要件が復活しましたし、J3を目指さない企業クラブの躍進でJ3ライセンス持ちクラブが「4位以内」の成績要件を達成すること自体が困難なシーズンになっています。

即ちJ3参入クラブが今季に限っては「0」となる可能性が十分ある中、15位というのはストレートに地域リーグへ降格する危険性がかなり高い順位。

ここまでくるとしまねの今季の目標は明確にJFL残留ということになってくるでしょう。

昨季の5位という好成績は忘れて、選手・スタッフ全員が「石にかじりついてでも残留する」という気概を早々に次の試合からでも見せて欲しいものです。

次節の対戦相手

次節はミッドウィークに天皇杯2回戦・大分トリニータ戦を挟んで、2022年6月5日(日)アウェイで高知ユナイテッドSCと対戦します。

高知との対戦は過去3戦3勝と負けが無いしまね。相性の良さを武器に得点と勝利が欲しいところ。

本来なら万全のコンディションで高知戦に臨みたいのですが、この試合の4日前(6月1日(水))には天皇杯があります。

この天皇杯・大分トリニータ戦にどういうメンバーで臨むのかはひとつのポイント。

ジャイアントキリングを起こして神楽しまねの知名度を上げるチャンスに懸けるのか、あるいは降格圏にある現状を踏まえてJFL残留のためターンオーバーで挑むのか。

おそらくはリーグ戦もまだ3分の2以上試合を残しているので、まずは天皇杯優先のベストメンバーを組んで来るとは思いますが、果たしてどうでしょう。実信監督の決断が注目されます。

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