■第24回日本フットボールリーグ(2022)第21節
FC大阪 1-2 FC神楽しまね
2022年9月11日(日) 14:00
東大阪市花園ラグビー場 第2グラウンド
観客 1,194人
【得点者】 23分 髙畑智也(しまね) 29分 今村優介(FC大阪) 61分 今村優介(FC大阪)
前節・高知ユナイテッドSC戦は先制しながらも後半に逆転を許し連勝が4で止まったFC神楽しまね。
今節は大阪に移動し前節終了時点で暫定首位に立つFC大阪とのアウェイゲームです。
クラブの資金難でアウェイゲームの試合日当日移動を強いられている選手・スタッフは、酷暑に加え移動の負担も負いながらの厳しい戦いとなりました。
スターティングメンバー
FC神楽しまね
前節高知ユナイテッドSC戦でスタメンだった左SBの辻川裕介に代わって今節は今村直也が起用されました。
今村は左のCBに入り、前節このポジションを務めていた筒井俊が左SBに入りました。
辻川はリザーブに入っており、スタメン・サブを合わせたメンバー自体は前節と全く同じです。
FC大阪
前節の奈良クラブ戦が雷雨のため試合途中で中止となったFC大阪。その奈良戦のときと同じスタメンです。
前回対戦時は4-4-2のフォーメーションでしたが、今節は木匠貴大選手をワントップに置いた4-2-3-1にしていたようです。
試合経過
試合開始から両者アグレッシブに攻撃を仕掛けますが、共に集中した守備で決定機を作らせずなかなかシュートシーンが生まれません。
拮抗した展開の中で先制点を奪ったのはしまね。
23分、右サイドに流れていた谷尾昂也がハーフライン付近から中央の髙畑智也に浮き球のロングパスを送ると、髙畑が見事な胸トラップでボールをコントロールし、そのままGKと1対1。髙畑はこれを制してボールをゴールに流し込みFC大阪0-1しまね。しまねが前節同様、前半のうちに先制点を上げました。
この直後に前半の飲水タイムに入り、飲水タイムが明けるとFC大阪が勢いを持ってしまね陣内へ攻め込むようになります。
そして29分、筒井俊のパスをインターセプトした久保吏久斗選手が中央の木匠選手にパス。木匠選手のスルーパスを受けた今村優介選手は対応に出たGK井上亮太を交わし右サイドの角度のないところからシュートを放つと、ボールはクロスバーに当たりながらもゴールラインを割り、FC大阪が同点に追いつきます。FC大阪1-1しまね。
その後はやや膠着した状態になりますが、ゴール前のシーンはFC大阪の方が多く作り、しまねはカウンターでチャンスを伺う状況に。
結局前半はタイスコアのまま動かずFC大阪1-1しまねで終了。後半へ折り返します。
後半もお互いが攻め合いながらもよく守り、前半と同じような戦いが続きます。
48分にはロングパスに抜け出した久保選手のシュートをGK井上が美技で弾き出し、53分には髙畑の決定的なシュートチャンスがFC大阪のシュートブロックに阻まれるなど、双方チャンスがありながらも決め切れない展開に。
この試合最初の選手交代はFC大阪。58分、木匠選手に替えて宇高魁人選手、西矢健人選手に替えて町田蘭次郎選手を投入します。
しまねもその1分後、加倉広海に替え遊馬将也を投入。
すると直後の61分、しまねの右サイドをオーバーラップしてきた齊藤隆成選手にボールが出ると、齊藤選手は中央の今村優介選手に正確なクロスを供給。しまねDF陣の対応は一歩及ばず、今村優介選手がヘディングシュートをゴールに叩き込みFC大阪が逆転。FC大阪2-1しまね。
しまねは70分、後半飲水タイムのタイミングで右サイドハーフの菅本岳を下げ澤島輝を投入します。
この時間帯辺りから徐々にしまねの運動量が落ち始め、球際の勝負で負けたりミスも散見されるようになりました。
80分、しまねは勝負の3枚替えを敢行。左SBの筒井に替えて辻川裕介、左SHの髙畑に替えて石川健太、FWの谷尾に替えて山本蓮を投入します。
この交代でしまねのフォーメーションは遊馬をワントップに置き、2列目に左から石川・山本・澤島を並べた4-2-3-1に移行。
選手交代で前線が活性化したしまねはFC大阪を攻め立てゴール前のチャンスを何度も作れるようになります。
リードしているFC大阪は守備を固めてしまねの攻撃を跳ね返しながらカウンターのチャンスを狙う展開。
しまねは最後までよく攻めましたが得点を上げるには至らず、試合はFC大阪2-1しまねのスコアでタイムアップ。FC大阪が前半戦しまねに敗れたリベンジを果たす格好になりました。
しまねは前節に続きこれで2試合連続の逆転負けです。
感想
全体の印象
敗戦はしましたが神楽しまねの出来としては悪くなかったと思います。
しまねは終盤にやや運動量が落ちたとは言ってもそこまで極端には落ちていません。厳しい暑さや当日移動の疲労を感じさせないほど試合を通してハードワークをしていたという印象を受けました。
しまねとしてはFC大阪に圧倒されたわけではないだけに悔しい敗戦ですが、こうした接戦をモノにするのがやはり首位チームなのでしょう。
FC大阪には悲願のJ3昇格に向け「今年こそ」との想いがあり、ホームに駆け付けた大勢のお客さんの前で負けるわけにはいかなかった。
しまねもJFL残留に向けてまだ予断を許さない状況ですし、クラブの資金難という事態に見舞われても「このチームでサッカーを続けたい」「ピッチで100%の力を出すことが自分たちにできること」という強い想いで試合に臨んでいます。
両者の「勝ちたい」という気持ちは同じくらい強かったはずですが、ほんの少しだけホームチームに運が味方してくれた。そんなゲームだったように思います。
3枚替えのタイミング
80分に石川・山本が投入され、FWの遊馬・澤島も合わせて前線の4人が全てフレッシュな交代出場選手になったところで、しまねの攻撃のギアが上がりました。
できればあの時間帯に得点をしたかったところでしたが、残念ながらあと一歩及ばず。
であれば、もう少し早いタイミングで攻撃的な選手を交代させても良かったように思いますが、そう簡単な話でもなかったのかもしれません。
同じ顔ぶれ・パターンで長い時間攻撃を続けていれば相手も慣れてくるでしょうし、実信憲明監督は試合の流れを見てラスト10分+アディショナルタイムが勝負所と判断したのだと思われます。
最終的に得点には結びつきませんでしたが、あの時間帯はゴールへの期待値がかなり高まりました。
交代選手同士の連携やプレー精度をさらに磨いて、しまねの新しい攻撃の武器をまたひとつ備えてもらいたいところです。
戦績
前節までしまねの下位に居たFCティアモ枚方が勝利、ソニー仙台FCがドローだったためそれぞれ勝ち点が22となりしまねと並びました。しまねはこの2チームと比較し得失点差で劣るため順位を2つ下げ13位に後退しています。
降格圏の15位・MIOびわこ滋賀との勝ち点差は7で変わらず。残り試合が9試合で滋賀はしまねとの直接対決を残していますので、しまねはまだ安心できる状況ではありません。
4連勝で息を吹き返したかに見えたしまねですが、ここ2試合は連敗。
次節こそ連敗を止めて悪い流れを断ち切りたいものです。
次節の対戦相手
次節は2022年9月17日(土)。アウェイで12位・ソニー仙台FCと対戦します。
過去の対戦成績はしまねの1勝2分け3敗。非常に相性の悪い相手です。
今季の前半戦、ホームで対戦した際も0-2でしまねが敗戦。開幕から4試合で勝利どころか得点もなかったソニーに、しまねは今季初得点と初勝利を献上してしまいました。ソニーとの相性がここまで悪いのかと痛感させられた試合だったと言えます。
島根から仙台までの距離を考えると今回はさすがに当日移動は無いでしょうが、クラブにキャッシュがない現状ではバスでの移動+車中泊という最悪のケースも想定されます。
選手・スタッフの心身の負担を思うと本当に辛い。
一刻も早くクラブに資金調達の目途が立ちますように。そう願うばかりです。