■第24回日本フットボールリーグ(2022)第13節
鈴鹿ポイントゲッターズ 0-0 FC神楽しまね
2022年6月26日(日) 15:00
三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場
観客 1,350人
【警告・退場】 ■ 87分 桃井紳伍(しまね) ■ 89分 前田柊(鈴鹿)
前節の敗戦でついに最下位まで転落した神楽しまね。
ホームで敗戦と言う結果も残念でしたが、前の試合で3得点していた攻撃陣が再び沈黙しノーゴールに終わったことも落胆に追い打ちをかけました。
しかしながら残留圏との勝ち点差は僅かに「2」。今節勝利すれば降格圏を脱出できる可能性もあります。
勝利への希望を持ちつつ、今節は鈴鹿ポイントゲッターズのホームへ乗り込んでの試合となりました。
スターティングメンバー
FC神楽しまね
前節との変更点はFWを堀田佳佑に代えて谷尾昂也。それ以外のスタメンは前節と同じです。
登録表記上は谷尾ワントップの4-2-3-1になっていますが、加倉広海はほぼトップの位置でプレーしていましたので実質的には加倉・谷尾2トップの4-4-2のフォーメーションです。
リザーブには第5節ソニー仙台FC戦以来8試合ぶりに佐々木健人がメンバー入りしています。
一方、前節まで全試合でメンバー入りをしていた髙畑智也が今季初めてメンバー外となりました。
鈴鹿ポイントゲッターズ
鈴鹿も4-4-2のフォーメーション。
前節のFC大阪戦から4人の選手を入れ替えてきました。
加えて前節は最終ラインでプレーをしていた今井那生選手をFWのポジションで起用するなど、三浦泰年監督は大胆な配置変更も施しています。
試合経過
立ち上がりから鈴鹿がアグレッシブに攻撃を仕掛け、開始3分にはいきなりフリーでシュートチャンスという決定機を迎えますが、このシュートは池藤聖仁が好セーブで防ぎ得点は与えません。
5分には今度はしまねが左サイドを攻略し最後は川中健太がGKの至近距離からシュートを放ったものの、岩脇力哉選手がこちらも好セーブで弾き出ししまねは得点ならず。
15分には再び加倉が左サイドを突破し中央へグラウンダーのクロスを送りますが、待ち構えていた谷尾が僅かに触れずしまねはチャンスを逸します。
21分、鈴鹿は中里宗弘選手のPA内へのスルーパスを北野純也選手が折り返し。ここに飛び込んできた栗田マーク アジェイ選手に合えば1点モノというしまねの大ピンチでしたが、筒井俊が上手くカバーし難を逃れます。
しかしこのプレーで栗田選手と交錯した筒井は右足首付近を負傷。かなりの痛がり方で立ち上がれず、結局筒井は25分に今村直也と交代。左CBの辻川裕介が筒井が務めていた左SBに回り、今村は左CBのポジションに入りました。
前半の早い時間に交代枠の使用を余儀なくされたしまねでしたが、その4分後の29分に今度は鈴鹿が選手交代。右SHの栗田選手を下げ、新藤誠司選手を投入します。新藤選手は右SBに入り、右SBの紀藤隆翔選手が右SHの位置に上がりました。
おそらくは負傷交代ではなく、しまねが再三この右サイド(しまねから見た左サイド)でチャンスを作っていたので守備の修正を目的とした選手交代と推測されます。
しまねは最終ラインで慎重にボールを回しながら楔のパスを入れるタイミングを伺い、時にはシンプルに前線へロングボールを供給するなどリスクを極力避ける戦い方を徹底します。
前半アディショナルタイムには菅本岳がミドルレンジから強烈な枠内シュートを放つものの岩脇選手がセーブ。
お互い攻め合った印象の前半でしたがシュート数は共に2本ずつ。双方敵陣にはボールを運ぶもののシュートで終われず、似たような展開で前半はスコアレス。後半へと向かいます。
気温28℃超の暑さの中、後半頭からの選手交代も十分予想できましたがしまねは選手交代なし。
一方の鈴鹿はこのタイミングで2枚替えを敢行。FWの北野選手に代えて中村健人選手、左SHの橋本晃司選手に代えて遠藤純輝選手を投入します。前線は遠藤選手と今井選手の2トップ、左SHに中村選手と言う布陣になりました。
後半になるとしまねが攻撃のスピードを上げてくるようになり、54分には左サイドの崩しから谷尾がシュートを狙いますがGK岩脇選手に防がれます。
しまねはパスをつないで鈴鹿陣内に攻め込む時間が増え出し、鈴鹿はその隙を突いてカウンター気味に攻撃を仕掛ける展開。
後半飲水タイム明けの71分、鈴鹿が交代出場の海口彦太選手のクロスに今井選手が頭で合わせるという決定機がありましたがボールはクロスバーを叩きゴールならず。
このプレーの直後、右SBの澤島輝が足を攣ってしまい桃井紳伍と交代します。桃井は左SHに入り、川中が右SHへ。そして菅本が右SBのポジションに下がりました。
78分には細かいパス交換で鈴鹿陣内へ攻め込んだしまねが最後は佐藤啓志郎の強烈なシュートで攻撃を完結させますが惜しくもGK正面。
直後に鈴鹿の上田駿斗選手に右サイドを持ち上がられピンチを迎えたしまね。しかし下村尚文がシュートコースに入ってブロックし得点を許しません。
一進一退の攻防が続く中、88分にしまねがようやく最後の選手交代。川中に代えて瀬戸匠海、谷尾に代えて堀田を投入します。
その後もアディショナルタイムの5分を含めて攻め合う両者でしたが、お互い守備の集中を切らさず相手を無得点に抑え、結局スコアレスのままタイムアップ。
共に勝ち点1を分け合う結果となりました。
感想
選手交代
鈴鹿の三浦監督が後半開始までに3人の選手を交代させ、その後も57分と80分に選手交代をして交代枠を使い切ったのに対し、実信憲明監督は筒井の負傷交代と澤島の足痙攣による交代以外はスタメンを試合終了間際の88分まで引っ張り続けました。しかも交代枠はひとつ残しています。
一見すると三浦監督が積極的に選手交代の手を打ち、実信監督は交代に消極的だったようにも映りますが、実信監督のプランとして「アウェイで勝ち点1なら良し」と考えていたのであれば合点の行く采配だったようにも思います。
スコアレスで拮抗した攻防が続く中でホームの鈴鹿ベンチが勝ち点3のために積極的に動くのは当然ですし、逆にアウェイのしまねは勝ち点3を狙って無理に動くよりも、守備のバランスが保たれ無失点に抑えている時間をできるだけ長くキープしたいと考えたのでしょう。
最下位に低迷するしまねとすれば今後も「アウェイでは勝ち点1」を最低ノルマとした割り切った戦い方が必要になってくると思われます。そういう意味で今節の結果は、連敗しなかったことも含め悪くないものだったと受け止めています。
攻撃
前節の奈良クラブ戦に続き、この鈴鹿戦でも無得点に終わった神楽しまね。
ただ前節に比べると今節はパスも良く回りましたしチャンスの回数も多かった。得点の可能性を大いに感じたのも事実です。
途中出場の瀬戸はここまでの出場時間は長くないものの、出場するたびに徐々にJFLの強度に順応しつつあるのが伺えます。今後前線の貴重なピースとして大いに活躍してくれるかもしれません。
加倉も前節に比べるとボールに絡んでチャンスメイクする回数が増えていましたし、次節もこの調子を維持できればFC大阪戦の時のようなMOM級の働きが期待できそうです。
攻撃陣は次節にこそゴールと言う結果を出して、奮闘する守備陣に報いてあげてもらいたいです。
選手の戦線離脱
受傷時の痛がり方が尋常ではなかっただけに筒井の負傷が心配です。
筒井はSB・CB・CHと複数ポジションをこなせる選手なので、ここで長期離脱となると主力の戦線離脱が続いているしまねにとってさらにまた大きな痛手。
先日、田平謙の長期離脱が明らかになったばかりですし、メンバー外が続いている遊馬将也も前節試合終了後に松葉杖をついている姿を見かけたので復帰にはまだ時間がかかるかもしれません。
今節、今季初めてメンバー外となった髙畑の状態も気になります。怪我などの影響でコンディション不良に陥っているような事態でなければ良いのですが。次節の大事なホームゲームに備え、遠征も免除し温存しているという理由であって欲しいと願います。
次節の対戦相手
次節は2022年7月3日(日)、島根県立サッカー場にMIOびわこ滋賀を迎えます。
滋賀は4勝2分け7敗の勝ち点14で現在13位。
神楽しまねの過去の対戦成績は2勝1分け2敗と五分。しまねは直近の2試合で滋賀に2勝しています。
滋賀の今季ここまでの総得点は10。総失点は25でこれはクリアソン新宿と並び現在リーグ最多失点数。
今節(第13節)もFC大阪に0-4で大敗している滋賀。
総得点5とリーグ最少得点の神楽しまねですが、果たして最多失点の滋賀からはゴールを奪うことができるのか。
しまねが滋賀との直接対決を制すれば両者の勝ち点差を「2」に詰められる大事な試合です。
また今季の島根県立サッカー場での試合はこれが最後。益田市のお客さんの前で何としても勝利を上げたいしまね。
FC大阪相手に3得点を奪って勝利した験の良いスタジアムですので、今回も勝ち点3獲得を大いに期待しています。