マッチリポート(2022年)

【2022 JFL】第19節 ヴィアティン三重 vs FC神楽しまね

2022年8月29日

プロモーションを含みます

■第24回日本フットボールリーグ(2022)第19節

ヴィアティン三重 0-1 FC神楽しまね

2022年8月28日(日) 15:00
朝日ガスエナジー東員スタジアム
観客 1,603人

【得点者】 64分 髙畑智也(しまね) 

【警告・退場】   84分 佐藤洸一(三重)   90分 森主麗司(三重)

7月31日の第18節から約1ヵ月間中断していたJFLの再開です。

前半戦を最下位で折り返した神楽しまねでしたが、後半戦のスタートとなったFCマルヤス岡崎戦に勝利すると続くクリアソン新宿戦、ヴェルスパ大分戦にも勝利。3連勝を飾って中断期間に入りました。

中断明け最初の試合、対戦相手は4位に位置するヴィアティン三重

強敵相手のアウェイゲームですが何とか勝ち点を奪取して連勝の勢いを継続したいところ。

クラブの資金難により選手・スタッフの宿泊費用が捻出できず試合日当日の移動を強いられた神楽しまね。

過酷なスケジュールが選手たちに及ぼす影響も心配された試合でした。

スターティングメンバー

FC神楽しまね

前節ヴェルスパ大分戦からスタメンを2人変更。

ヴィアティン三重へ移籍した川中健太選手に代わって左SHに髙畑智也。左CBは今村直也に代えて筒井俊を起用しています。

リザーブには久しぶりにメンバー入りした選手が4名

長田健石川健太が第9節以来10試合ぶり、山本蓮が第12節以来7試合ぶりにメンバー入り。

そして第11節の試合中に顔面を骨折し全治6~8週間の重傷を負った田平謙が2か月半ぶりに戦列復帰しています。

ヴィアティン三重

ヴィアティン三重は前節のスタメンから3人を変更。

GKを森健太選手から加藤大喜選手、CBを寺田匡史選手から児玉慎太郎選手、ボランチを森主麗司選手から橋本拓門選手に替えています。

神楽しまねから三重に移籍した川中健太選手は合流してから日が浅いということもあってかメンバーからは外れました。

試合経過

前半は双方一進一退の攻防。

ボールを保持しパスをつないで攻撃を組み立てるスタイルは両者共に同じ。

お互い相手ゴールに迫る場面は何度も作りますが決定機と呼べるほどのシーンは訪れません。

序盤はどちらかというと三重の攻撃が目立っていましたが、前半も終盤を迎える頃にはしまねが三重陣内でプレーする時間の方が若干長くなっている印象でした。

しまねの各選手は移動の疲れも見せず非常にアグレッシブに動き回っており、その運動量は見ていて後半の体力が心配になるほど。

両者攻め合った前半でしたが結局スコアレスで後半へと折り返します。

後半も立ち上がりは前半同様、共になかなか決定機を作れずにいましたが、54分しまねにビッグチャンス。

菅本岳が右サイドから中央にグラウンダーのパスを送ると、これが逆サイドでフリーになっていた髙畑智也まで届き、髙畑は得意の左足でシュート。しかしボールは僅かに枠を外れてしまいます。

その2分後、今度は三重がしまね陣内でフリーキックのチャンス。

橋本拓門選手が蹴ったボールは谷奥健四郎選手の頭にピタリと合いますが、このヘディングシュートも僅かに枠外へ。

さらに62分。三重がショートカウンターからしまねDF2人に対して3人が対峙する3対2のビッグチャンスを作りますが、交代出場の大竹将吾選手が最後に放ったシュートは枠を外れしまねは命拾い。

そして迎えた64分。遂に均衡が破られます。

谷尾昂也のポストプレーから加倉広海にボールが渡ると、加倉はそのまま右サイドを持ち上がり逆サイドの髙畑にグラウンダーのパス。パスを受けた髙畑は中央に切り込み、今度は利き足ではない右足でシュートを放つとボールはゴール左隅に吸い込まれ神楽しまねが先制。

三重0-1しまね

先制したことでしまねは押せ押せとになり、追加点を奪うチャンスも幾度か迎えましたが得点には至らず。

後半飲水タイムのタイミングでしまねは最初の選手交代。先制ゴールを決めた髙畑を下げ山本蓮を投入します。

飲水タイムを挟んでもしまねの勢いは衰えませんでしたが、74分に大ピンチ。

GK井上亮太とCB2人の連携が悪く、しまねゴールがガラ空きになっている状態で交代出場の田宮碧人選手にルーズボールを拾われてしまいます。田宮選手は遠い距離から無人のゴールを狙ってシュートを試みますがボールは枠外。しまねは助かりました。

このプレーをきっかけに三重は怒涛の攻撃を開始。

三重がボールを支配し始め、あれだけ出足の良かったしまねがボールを奪えなくなります。

78分、しまねは堪らず2人目の選手交代。右SHの菅本を下げFWの遊馬将也を投入。遊馬は加倉のポジションに入り、加倉が右SHに移動します。

試合も最終盤に差し掛かるとしまねは1点を守り切って試合をクローズするため最後の選手交代。

89分、加倉に代えて田平謙、右SBの佐々木健人に代えて長田健を投入。田平はそのまま加倉のポジションに入りフェースガードを装着してのプレー。長田は左CBに入り、筒井俊が右SBにポジションを移しました。

アディショナルタイムには大竹選手が決定的なヘディングシュートを枠に飛ばしますが、井上がビッグセーブでボールを弾き出しゴールを死守。

しまねは集中した守備で最後まで三重にゴールを許さず、三重0-1しまねで勝利。

しまねはこれで4連勝。JFL昇格後、4連勝は初めてです。順位も2つ上げて11位まで浮上しました。

感想

クリーンシート

神楽しまねは前節ヴェルスパ大分戦に続きクリーンシートを達成。最少得点での勝利を収めました。

失点を抑えて少ない得点でも勝利につなげる昨季のしぶとさ・勝負強さが後半戦になってようやく発揮できるようになっています。

前半戦とメンバーがほとんど変わっていないのに後半戦になってこの快進撃が続いているのは、以前も述べたようにやはり垣根拓也の復帰が大きいのは間違いありません。

プレー内容はもちろん精神的支柱としてもピッチに居てくれなくては困る存在と言って良いでしょう。

守備全般について言うと各選手最後のところでしっかり身体を張ることができており、昨季の堅い守備が戻ってきたことが実感されます。

今の状態であれば今後も容易には失点しないだろうと思わせてくれるところが、今のしまねの最大の強みなのかもしれません。

連携と運動量

この日の試合を見ていて感じたのは中断期間中に連携面がさらに熟成されたということ。

効果的なワンタッチパスが随所に見られましたし、パスの出し手と受け手がよりスペースを意識してプレーしているのも伺えました。

また運動量に関しても中断前より幾分上がっている印象を受け、あまりのアグレッシブさに終盤まで体力が持つのかと心配になったくらいです。

上位チーム相手にアウェイで、しかも当日移動というハンディを負いながら勝利できたのは中断期間中のチーム強化が極めて上手く行った証左と言えるのかもしれません。

クラブ経営が非常に厳しく不安を感じている中で、試合に向き合いしっかり準備して結果を出す選手・スタッフの頑張り・精神力にはただただ頭が下がるばかりです。

私に今できることと言えばささやかな寄付と応援することくらいしかありません。

クラブの経営問題が早期に解決し選手たちが報われて欲しいと切に切に願うばかりです。

次節の対戦相手

次節は2022年9月4日(日)。神楽しまねのひとつ上・10位に居る高知ユナイテッドSCを松江市陸に迎えます。

過去の対戦成績はしまねの3勝1敗。今季の前半戦、アウェイで対戦した際は0-1でしまねが初黒星を喫しました。

今季の前半戦、しまねは0-1というスコアでよく負けています。

奇しくも直近で対戦したヴィアティン三重ヴェルスパ大分にも前半戦は0-1で敗戦しました。

しかし後半戦ではこの2チームに逆に1-0で勝利して前半戦の借りをきっちり返しています。

果たして次節、高知に対しても前半戦の借りを返すことができるのでしょうか。

勝利すれば順位が入れ替わる大事な試合。5連勝の瞬間をホームスタジアムの観客の前で必ずや見せてくれると信じています。

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