東京武蔵野シティFC 1 - 0 松江シティFC
2020年11月29日(日) 13:00 Kick off
武蔵野陸上競技場
観客 872人
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スターティングメンバー
松江シティFC
リザーブメンバー:
GK 池藤聖仁(#30)、DF 加藤秀典(#39)、MF 馬場将大(#5)・佐藤啓志郎(#8)・那須甚有(#20)・馬場悠(#44)、FW 中井栞吏(#14)
前節Honda戦からスタメン一人を入れ替え。右ウィングバックは佐々木健人(#2)に代わって菅本岳(#11)が起用されました。リザーブメンバーに佐々木は入らず、前節途中出場だった北原大奨(#32)も外れました。代わりに馬場将大と馬場悠がメンバー入りしています。
東京武蔵野シティFC
リザーブメンバー:
GK 西岡佑馬(#1)、DF 小松﨑雄太(#3)・金守貴紀(#10)、MF 小野寺湧紀(#4)・小林大地(#8)・永露大輔(#32)、FW 田口光樹(#9)
武蔵野シティの基本フォーメーションは4-2-3-1ですが、守備の際はトップ下の差波選手が一列上がって4-4-2の守備ブロックを形成していました。
試合経過
前半
立ち上がりから前半飲水タイムまでは武蔵野シティ陣内でプレーする時間が比較的長かった松江シティ。
武蔵野が形成する4-4-2のブロックの周囲でボールを回しながら前線に送り込むタイミングを伺います。
武蔵野は積極的に松江にプレスをかけるわけでもなく、守備ブロックをスライドさせながらひたすら松江が前にボールを出すタイミングを辛抱強く封じていきます。
そしてひとたび武蔵野がマイボールにすると一気にカウンターを発動し、迫力のある前線への押上げで松江ゴールに迫っていきます。松江がこの攻撃を凌いで攻撃に転じると武蔵野は素早く自陣に戻り、またブロックを作って対応する。
この攻防が終始続きました。
松江がボールを持つ時間が長いので、一見松江が押し込んでいるようにも見えますが、実は武蔵野の守備に手こずりなかなか打開策を見いだせない状況のまま松江は前半の飲水タイムを迎えます。
この飲水タイムが明けると試合の様相が一変。
今度は武蔵野が松江陣内に攻め込む時間が長くなります。
松江は武蔵野に何度もゴール前のシーンを作られ、31分にはフリーでボールを収めた武蔵野の選手にゴールエリア内でシュートを打たれるという大ピンチを迎えますがGK・井上亮太(#1)がシュートストップ。さらにそのこぼれ球を武蔵野の選手に拾われ至近距離から再びシュートを打たれたものの、これも井上が落ち着いてセーブしゴールを許しません。
松江はシンプルに前線にボールを入れても繋がらず、攻撃に苦心している状況は変わりませんでしたが35分に大きなチャンスを迎えます。
右サイドから菅本がペナルティエリア内の西村光司(#9)に絶好のクロスボールを供給。西村はこれを上手くボレーシュートで合わせましたが、ボールはディフェンスに入った金田選手の右手に当たって枠を外れます。金田選手の右手は肩より高く上がっていましたので主審の山下良美さんは迷わずハンドと判定し金田選手にイエローカードを呈示。松江はペナルティキックを獲得します。
PKのキッカーは得点ランキングトップタイの9得点でMIOびわこ滋賀・坂本選手と並んでいる酒井達磨(#19)。
ゴールが決まればランキングの単独トップに躍り出ることになります。
しかし酒井の蹴ったボールは武蔵野GK・本田選手が弾き出し、これに詰めてきた川中健太(#7)が放ったシュートも枠を外れゴールならず。松江は先制点のビッグチャンスを逃してしまいました。
松江は44分にも左サイドに流れた酒井がゴール前に入れた低いクロスボールにフリーの川中が左足で合わせてシュートを放つ決定機がありましたが、足が深く入ったのかボールはゴールポストの外側に流れていきます。
このプレーの直後に武蔵野のセンターバック・望月選手が足を痛めてプレー続行不可能となり、金守選手と交代。
結局前半は両者決定的な場面はあったもののスコアレスで終了。武蔵野0-0松江で折り返します。
後半
後半頭から松江・武蔵野は共にメンバー交代。
松江はインサイドハーフの髙畑智也(#16)に代えて馬場悠(#44)を投入。
武蔵野は右サイドバックの金田選手に代えて小松﨑選手を投入します。
後半開始から終始武蔵野を押し込む松江。
後半の早々に武蔵野のカウンターがハマり松江はあわや失点かという場面はあったものの、それ以外はピンチらしいピンチもなく、武蔵野陣内でのプレー時間が長くなります。
武蔵野は松江の攻撃を凌いで攻撃に転じようとしても、ビルドアップが寸断され、ロングボールも前に収まらないという状況で、なかなか松江陣内に攻め入ることができません。
前半は4-4-2の強固なブロックで松江の攻撃を防いでいた武蔵野でしたが、後半は中盤のラインがディフェンスラインの近くまで下がってしまい、クリアボールやロングフィードもことごとく松江に拾われて、ラインを押し上げられない時間が続くようになります。
一方で松江はこの機に乗じて何度もゴール前のシーンを作りシュートを放ちますが、最後の精度を欠きゴールには至りません。
状況を打開するために武蔵野は72分、左サイドハーフの後藤選手に代えて田口選手を投入します。
すると直後の73分、武蔵野のフリーキックの流れから相手シュートをブロックに行った酒井の手にボールが当たってしまいハンドの宣告。酒井はイエローカードをもらい、武蔵野はゴール正面&ペナルティエリア手前ギリギリの位置でフリーキックを獲得します。松江は押している展開で嫌な位置でのフリーキックを与えてしまいました。
しかし差波選手が蹴ったボールは壁をすり抜け枠に向かったものの、井上がしっかりキャッチしゴールならず。
壁を抜けてきた出所が見えにくいシュートでしたが、井上のナイスセーブが松江を救いました。
松江は77分に2人目の選手交代。
インサイドハーフの田平謙(#31)に代わって佐藤啓志郎(#8)が入ります。
以後も武蔵野サイドでの攻防が長く続き、84分にはコーナーキックを辻川裕介(#28)が頭で合わせますが相手に当たって僅かにクロスバーの上。さらに続いてのコーナーキックを今度は酒井が頭で合わせるもこちらもクロスバーを越えていきます。
86分には左サイドから西村が入れたクロスボールに川中が飛び込み右足で合わせるという決定機がありましたが、これもまたクロスバーに弾かれてしまいます。
後半は完全に松江のゲームでしたが、終了間際に悪夢が待っていました。
90分、武蔵野はコーナーキックを得ると差波選手の蹴ったボールを金守選手がヘディングでゴール前に送り、最後は石原選手が押し込んで武蔵野1-0松江。
松江はアディショナルタイム、川中に代えて中井栞吏(#14)を投入し最後までゴールを狙いますが結局このスコアのまま試合終了。ゴールチャンスの数では武蔵野を圧倒していた松江でしたが、セットプレーでの一発に泣き悔しい敗戦となりました。
戦評
「得点できる時にしっかり取っておかないと逆に相手の一発にやられる」
よく言われるこの言葉通りの試合結果になってしまいました。
90分まで両者スコアレス。最低でも勝ち点1は取れそうな流れだっただけに、最終盤での失点はまさに痛恨の極みといったところでしょうか。
マルヤス岡崎戦、Honda戦と無失点試合を達成し、迎えたこの日の武蔵野シティ戦も終了間際まで無失点と、ここ3試合は非常に守備の安定感を見せてきた松江シティですが、反面攻撃の方は3試合で僅か1得点と振るいません。
決して守備的に戦っているわけではないですし得点機会も多いので、この得点の少なさにはちょっと寂しさを覚えます。
今季松江の総得点は18。その半分の9得点は酒井達磨が挙げたものです。今季の攻撃の軸が酒井だったのは間違いありません。一方で酒井と組む2トップの一角はなかなか固定されませんでした。ここにもう一人核となるフォワードがハマれば自ずと得点力も上がるのではないか。来季に向けてはそれをまず期待したいと思います。
2020年 JFL閉幕
コロナ禍の中、15試合制となった2020年のJFLは幕を閉じました。
まずは開催にご尽力いただいた事務局並びにご関係者の皆さまに心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
松江シティの成績は6勝2分7敗、勝ち点20の10位。
酒井達磨が9得点でMIOびわこ滋賀・坂本選手と共に得点王を獲得しました。
残留争いを繰り広げ、最終順位15位で終えた昨季と比べると負け越しはしましたが、非常に良い結果で終われたと言えるでしょう。
しかし各クラブの実力差がほとんどないのがJFL。今季15試合制とは言え5位と最下位の勝ち点差は僅かに6。たった2試合でひっくり返る可能性がある勝ち点差です。
今季、コロナ禍の特例でJFLからの降格クラブがなかったため、来季はTIAMO枚方・FC刈谷を加えた17クラブが32節を戦い、最大で下位3クラブが地域リーグ降格という過酷なレギュレーションになります。
少しでもつまずくと一気に残留争いに巻き込まれてしまう怖れがあります。
松江シティは来季に向けてシーズンオフ、補強も含めしっかり準備をして来るべき2021年のJFL開幕を迎えて欲しいですね。
最後になりましたが、松江シティFCの選手・スタッフ・関係者の皆さん、2020年シーズン大変おつかれさまでした。
コロナのせいでかつてない過酷なシーズンでしたが、無事に閉幕を迎えられて何よりでした。
まずはしっかりリカバリして、2021年シーズン、また元気にスタジアムでお会いしましょう!