MIOびわこ滋賀 1 ー 2 松江シティFC
2021年 6月26日(土) 13:00 Kick off
東近江市布引運動公園陸上競技場
観客 832人
前節、松江のホームゲームは明治安田生命松江支社様のサポーティングマッチということでたくさんの方にご来場いただきましたが、今節の試合でも明治安田生命滋賀支社様がスポンサーとなり多くの観客が東近江に詰めかけました。
明治安田生命様は言わずと知れたJリーグの冠スポンサーですが、こうしてJFLも支えていただけるのは本当にありがたいです。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
スターティングメンバー
松江シティFC
前節退場し出場停止の筒井俊に代わり、松下大祐が右のCBに入りました。
松下が右CBの場合、左CBには馬場将大が起用される傾向があり、この日も左には馬場将大が入っています。
またフォーメーションが前節までの3-4-2-1から開幕当初の3-3-2-2に戻っています。
ここしばらくワントップへのボールの収まりがあまり良くないため、川中健太・遊馬将也の2トップにし、インサイドハーフに髙畑智也・山本蓮を配することで前線に厚みを持たせる意図があったものと推測されます。
MIOびわこ滋賀
FWの竹下選手が下がり目のポジションを取っており、坂本選手ワントップの4-2-3-1に近い布陣でした。
坂本選手は昨季の得点王。その得点能力には要警戒です。
試合経過
前半
序盤の松江シティはボールを持ってからの各選手の判断が早く、また攻撃に転じた際は全体が共通意識の下に連動して動いているように見受けられ、前節のような攻撃の停滞感がありませんでした。
良い攻撃のリズムの中、松江に開始7分に先制点が生まれます。
ディフェンスラインからのビルドアップ時、馬場将大がワンタッチで髙畑智也の前のスペースにボールを送ると、髙畑はこのボールをドリブルで持ち上がりながら髙畑→川中健太→髙畑と流れるようにパスをつなぎ、最後は髙畑が利き足ではない右足でゴール左隅にシュートを決め、滋賀0-1松江。
過去3試合、滋賀からは1点も取れていなかった松江が初めて滋賀から得点を上げます。
その後も松江はパスワークが冴え、長短の正確なパスを交えて滋賀ゴールに迫りますが、流れは徐々に滋賀の方に。
前半飲水タイム前後に、松江は何度か危ない場面を迎えますが、滋賀のラストパスがあと少し合わなかったりシュートが精度を欠いたりで事なきを得ます。
その後、試合がやや膠着する中、迎えた34分。
滋賀のクリアボールを山本蓮がヘッドで前方の遊馬将也に送ると、遊馬は右サイド遠めの位置から見事なミドルシュートを決め、滋賀0-2松江。
前半のシュート数は3本と少ないながらも、松江は効率よく2点を上げることができました。
滋賀の攻勢を受ける時間が長かった松江でしたが、前半終了間際の滋賀の決定機も井上亮太の好セーブで凌ぎ、2点のリードを保ったまま後半へと向かいます。
後半
2点を追う滋賀は後半頭から松本選手に代えて國領選手を投入。
前半から松江ゴールを脅かし続けていた滋賀は、後半になるとさらに攻撃の圧力を強めて松江陣内に攻め込みます。
50分過ぎあたりから松江は自陣に完全に押し込まれ、立て続けに何度も滋賀にコーナーキックを与えるなど苦しい時間が続きました。
それでも松江は守備の集中を切らさず、また井上の美技もあって無失点でこの時間帯を凌ぎ、来るべきカウンターのチャンスに備えます。
そして63分のことでした。松江にとって思いもかけない事態が発生します。
滋賀DFの裏のスペースに飛び出してボールを受けた山本蓮の位置がオフサイド。
主審の笛が鳴った後、どういうわけか山本がボールを前方に蹴ってしまいます。
当然これは遅延行為と見なされ山本にイエローカード。57分にもラフプレーで警告を受けていた山本はこの試合2枚目のイエローカードで退場となってしまいます。
松江は前節のマルヤス岡崎戦に続いて、今節も10人での戦いを強いられることになりました。
実信憲明監督はこのタイミングで髙畑智也を下げ、佐藤啓志郎を投入。
通常時は3-4-2、自陣にリトリートして守る際は両ウィングバックがDFラインまで下がる5-2-2の布陣にして、2点のリードを守り切る選択をします。
何とか2点のリードを長く保ちたかった松江でしたが、77分、滋賀が松江ゴール前にクロスボールを放り込むと、松江の選手がゴール前で滋賀の選手を倒してしまいPKの判定。
このPKを竹下選手に決められ滋賀1-2松江。
失点直後に松江は右ウィングバックの菅本岳に代えて佐々木健人を投入。守備ラインの強化を図ります。
1点差となってから滋賀の攻撃はさらに迫力が増し、松江はこれを跳ね返すのが精一杯。
82分、松江はFWの川中健太に代え堀田佳佑、そして守備ラインのさらなる強化のため左ウィングバックの澤島輝に代えて宮内真輝を投入。
交代出場の堀田はピッチを縦横無尽に駆け回り、滋賀のボールホルダーを追い続けて簡単にはクロスボールを入れさせないようアプローチを続けます。
松江の守備陣も、井上を中心に高い集中力で最後まで綻びを見せず守り切り、結局滋賀1-2松江でタイムアップ。
松江シティが執念で勝ち点3を奪って連敗脱出。MIOびわこ滋賀から初勝利を上げました。
戦評
この日の松江は3-3-2-2に布陣を戻したのが功を奏したのか、あるいは山本蓮を活かすために敢えて布陣を戻したのか、序盤は山本を中心に非常に小気味良くパスが回り、また各選手が迷いなくダイレクトにボールをさばくシーンも多くて、久しぶりに松江のリズミカルなパス交換を見たような気がしました。
皮肉なことに、その攻撃の中心を担った山本が後半退場してしまうのですが、あの遅延行為の場面、なぜボールを前に蹴ったのか非常に不可解です。
「意図的に」というより「勢い余って」という感じにも見えますし、ボールを止めようとしていたようにも見えます。
悪意はなかったのでしょうが、いずれにしても軽率なプレーでした。
次に守備の話。
前節の記事では松江の守備の集中がここ最近緩んでいるのではないか、ということを指摘しましたが、今節は非常に良く守っていたと思います。
退場者が出てから試合のテーマが「守り切る」と明確になったせいもありますが、それでも本当に守り切って試合を終えたのは見事でした。
苦手としていたセットプレーやパワープレーに屈しなかったのも好材料の一つです。
加えて最終的にリードしたまま勝ち点3を取れたことで、退場した山本が戦犯にならなくて何よりでした。
連敗中という悪い流れの中、10人で戦わなければならないという逆境を乗り越えて勝利できたことは非常に大きい。
この良い雰囲気を断ち切らないために次節こそ大事です。大いに期待しています。
次節の対戦相手
次節は7月3日(土)15時から初の益田開催となるホームゲームです。
会場は島根県立サッカー場で、対戦相手は絶対王者・Honda FC。
Hondaは現在14試合を消化し、勝ち点30の2位。首位いわきFC(13試合消化)とは勝ち点1差です。
松江シティのHondaとの対戦成績は1敗2分け。勝利はありませんが完膚なきまでにやられている印象はありません。
もっとも引き分けた試合は松江シティJFL初見参となる開幕戦だったり、Hondaの5連覇が潰えた直後の試合だったりと、Hondaにとって難しい状況の試合だったことは否めません。
今回、万全な状態のHonda FC相手に松江シティがどこまで食らいつけるのか。
また初開催となる益田の雰囲気はどうか。
色々楽しみな次節です。