鈴鹿ポイントゲッターズ 1-1 松江シティFC
2021年 9月18日(土) 15:00 Kick off
非公表
リモートマッチ(無観客試合)
三重県に発令されていた緊急事態宣言が9月末まで延長されたことによりリモートマッチでの開催となったこの試合。
対戦相手の鈴鹿ポイントゲッターズはミラグロス・マルティネス前監督退任後に三浦泰年監督が就任すると、ここまで4勝1分けと新監督就任以来負けなしを継続中です。
好調な対戦相手とのアウェイゲームをどう戦うのか。
松江シティの力が試される一戦となりました。
スターティングメンバー
松江シティFC
松江シティは前節F.C.大阪戦とスタメンもリザーブメンバーも変わっていません。
スタメンに関してはこれで5試合連続同じメンバーが起用されています。
ここまで安定した戦いができていますので、敢えてメンバーをいじる必要はないという実信憲明監督の判断なのでしょう。
ただ夏場での試合が続いていますので選手たちの疲労は懸念されるところです。
鈴鹿ポイントゲッターズ
鈴鹿のフォーメーションは4-2-3-1。
前半戦、浜山で対戦した際は4-4-2でしたので、まずフォーメーションが若干変わっています。
また前回対戦時にスタメンだった選手は今回4人しか先発していません。さらにその中でも同じポジションで出場しているのはGKの岩脇選手とFWの川森選手の2人だけです。
監督もフォーメーションもメンバー構成も変わり、前回対戦時とは別のチームになっているかのような印象を受けます。
試合経過
前半
序盤は鈴鹿のペース。
松江は自陣に押し込められ、鈴鹿の攻撃を受ける時間が長くなります。
鈴鹿はセカンドボールも上手く回収できており、松江はなかなかボールを持つ時間を与えてもらえません。
この勢いのままに15分、鈴鹿に大きなチャンスが訪れます。
鈴鹿の松木選手が松江の左サイドをドリブルで突破してペナルティエリア内に侵入し、一気にゴール前までボールを運ぼうとします。これを止めに行った下村尚文が松木選手の足を引っかけてしまい、鈴鹿はPKを獲得。
キッカーはPKを奪取した松木選手。
松木選手は上手くGK井上亮太の逆を突きましたが、ボールは枠を外れ松江は何とか命拾いします。
このプレーでひと息つけたことが良かったのか、以後は松江がボールを支配し始め持ち前の細かいパス回しで鈴鹿陣内に攻め込む時間ができてきます。
前半飲水タイムが明けてからも松江ペースは続きコーナーキックの回数も増え出しますが、鈴鹿のGK岩脇選手が再三好セーブを見せ松江は得点を奪うことができません。
すると28分あたりから今度は鈴鹿がペースを握り始めます。
鈴鹿は松江の左サイドを攻略する場面が多く、中央に度々クロスを供給してきますが松江のディフェンスは落ち着いてこれを弾き返し鈴鹿にチャンスを与えません。
36分には松江にビッグチャンス。
右サイドで相手と競り合いながら粘ってマイボールにした川中健太がそのまま右サイドを駆け上がり中央にクロスボールを供給。
待ち構えていた髙畑智也がフリーでヘディングシュートを放ちますが無情にもボールは枠の外。
その後も40分前後から怒涛の攻撃を仕掛ける松江でしたが得点は奪えず。
結局両者スコアレスで後半へと折り返します。
後半
後半開始からまず鈴鹿に選手交代。FWの川森選手に代えて菊島選手を投入。
この交代で前半は右サイドバックを務めていた田村選手がFWの位置に入り、前半トップ下の松木選手が右サイドバックに。交代投入の菊島選手は右サイドハーフに入り、前半この位置でプレーをしていた蓮沼選手が中央寄りにポジションを変えトップ下に入りました。
すると後半開始早々の49分、鈴鹿に先制点が生まれます。
右サイドから松木選手がGKとDFの間に絶妙なアーリークロスを供給すると、これに頭から飛び込んだ田村選手がゴールを決めて鈴鹿1-0松江。
後半からポジションを変えた鈴鹿の2選手によって均衡が破られます。
松江は前節に続いて先制点を許す苦しい展開。
しかしここから松江はパス交換のテンポを上げて前への圧力を強めて行きます。
鈴鹿の守備はあまり前からプレッシャーをかけず、松江の攻撃を受け止める格好に。
攻撃の勢いを増したい松江は60分に最初の選手交代。
右CBの宮内真輝に代えて澤島輝を投入。澤島は右のウィングバックに入り、この位置にいた筒井俊が1列下がって右CBに入ります。
同じタイミングで鈴鹿も選手交代。
トップ下にポジションを変えていた蓮沼選手に代えて山内選手を投入。
山内選手は田村選手と2トップを組み、鈴鹿のフォーメーションは4-4-2に変わりました。
選手交代後も松江の勢いは止まらず、縦パスが良く入りゴール前のチャンスが増えます。
迎えた65分。
鈴鹿GK岩脇選手が前線の選手目掛けてパントキックしたボールを馬場将大がインターセプトすると、前に残っていた髙畑に縦パスを入れます。
髙畑がこれをゴール前の川中に送ると鈴鹿の選手に囲まれ、さらにGKも飛び出して混戦状態になりますが、川中が上手く抜け出してゴールを決め鈴鹿1-1松江。
松江が同点に追いつきます。
試合をひっくり返したい松江は72分に攻撃的な選手を2枚替え。
川中に代えて山本蓮、遊馬将也に代えて伊能玲生を投入します。
直後に鈴鹿もFWに入った田村選手に代え遠藤選手を投入。
この後、流れは鈴鹿に傾き松江は攻撃を受ける回数が増えて行きますが、守備での集中は切らさず決定的な場面を与えません。
87分、松江は最後の選手交代。佐藤啓志郎に代えて田平謙、髙畑に代えて加倉広海を投入。
すると直後の88分、鈴鹿が松江ペナルティエリア手前の良い位置でフリーキックを獲得。
鈴鹿キッカーのクロスボールがDFラインの裏に入りこれを松江ゴールに押し込まれますが、ここはオフサイドの判定。
その後最後まで攻め合う両者でしたが互いに勝ち越し点は奪えず、鈴鹿1-1松江でドロー。
先制された試合でまたも追いついた松江はアウェイで貴重な勝ち点1を持ち帰ることになりました。
戦評
前節同様、松江は先制点を許しながらも追いついて勝ち点1を手にしました。
このパターンで勝ち点を奪取するのは今季これで6試合目になります。
「複数失点さえしなければ勝ち点は取れる」という自信が確信に変わりつつある頃かもしれません。
松江が複数失点せずに勝ち点を取れなかった試合、つまり0-1で敗れた試合は第13節のマルヤス岡崎戦のみです。しかしこの試合は68分に決定機阻止で筒井が退場になっていますので、もし11人のまま戦っていたら終盤に追いついていた可能性も否定できません。
いずれにしても強固な守備でロースコア決着に持ち込めるのが今季の松江シティの強みであり、来季以降もこの強みを活かしつつ攻撃パターンを増やしたりあるいは選手の補強などで得点力の上積みを図っていってもらえればと思います。
前節・今節と見ていて特徴的なのは終盤でも松江シティの運動量が落ちないこと。
80分を過ぎた一番キツイ時間帯でも、松江の選手たちはよくボールを追いますしルーズボールに対しても相手の選手より一歩足が先に出てマイボールにする場面が多く見られます。
この夏場の5試合、スタメンを一切変更せずにそれでも選手の運動量が最後まで落ちないのはオフシーズンに相当なフィジカルトレーニングを積んだ成果なのかもしれません。
昨季も一昨季のJFL参入年も、試合の終盤になると疲労からつまらないミスを犯してしまったり、それが失点につながるケースも見られましたが今季はそのようなミスはほぼ無くなっています。
過去の課題をクリアしながらJFLの中でチームが少しずつ成長していることに見ている側としても手ごたえを感じていますし、今後もこのように着実にチームもクラブも進化を遂げていって欲しいと心から思います。
次節の対戦相手
次節は1週空いて10月3日(日)、島根県立サッカー場に首位・いわきFCを迎えます。
いわきFCとは過去2戦2敗。いずれも1-3のスコアで敗戦しています。
ただ過去2試合はアウェイゲーム。今回いわきFCは初めて松江のホームに乗り込んでくることになります。
目下J3に一番近いところに居るいわきFC。このまま松江が勝ち点を奪えないまま卒業されてしまうことは絶対に阻止しなければなりません。
思えば松江シティはJFL参入以来、FC今治・テゲバジャーロ宮崎と2つのクラブを見送ってきたのですが、今治からは勝ち点2、宮崎からは勝ち点4を置き土産にしてもらっています。
今季、島根県立サッカー場で松江シティはJFL参入以来勝ったことがなかったHonda FC・東京武蔵野ユナイテッドと戦い、いずれの試合も初勝利を上げています。
験のいい会場でいわきFCからも初勝利を上げたいところですね。