2021年2月25日、Jリーグは公式サイトにおいて「J3入会要件に関する特例措置について」「Jリーグ百年構想クラブ 審査結果について」という2つのニュースをリリースしました。
これにより2021シーズンにおけるJFLからJ3リーグへの昇格(入会)条件が確定しましたのでその内容を解説していきます。
Jリーグ入会資格
2021年版のJリーグ入会資格はJリーグ規約(2021年1月28日改正)の第17条[入会]に定められています。
第17条では入会資格が5項に分けて規定されており、簡単にまとめると次のような内容です。
ポイント
1.JFL所属の「Jリーグ百年構想クラブ」であること
2.J3クラブライセンス審査を受けること
3.9つの入会要件を全て充足すること
4.Jリーグ理事会の審議で入会が承認されること
5.Jリーグ入会金の納入を完了すること
3.を除く4項目は主に手続き上の規定なので特に分かりにくい点は無いかと思います。
そこで3.に規定された9つの入会要件について詳しく見ていくことにします。
Jリーグ入会要件
Jリーグ規約
Jリーグ規約 第17条 第3項に規定された9つの入会要件は次のような内容です。
入会要件
① J3クラブライセンス審査に合格している
② 百年構想クラブとしての活動実績が理事会から認められている
③ 日本の法律に基づき設立された株式会社または公益社団法人である
④ ファンクラブや後援会などの安定的な支援組織がある
⑤ 入会直前年度のJFLのリーグ戦におけるホームゲームの1試合平均入場者数が2,000 人を超えており、 3,000 人を目指して努力していると認められる
⑥ 入会直前年度の年間事業収入が 1.5 億円以上になると見込まれる
⑦ 入会直前年度の期末決算において、債務超過ではないことが見込まれる
⑧ 入会直前年度のJFLのリーグ戦における最終順位が4位以内であり、かつ、JFLに属する百年構想クラブのうち、上位2クラブに入っている
⑨ 百年構想クラブが株式会社の場合、大株主とJリーグとの直接の面談機会を設定し、別途Jリーグが定める宣言書に署名させ、Jリーグに提出する
まず①J3クラブライセンスの取得がJ3入会への大前提であり、その他に重要な要件としては⑤ホームゲーム入場者数と⑧JFLでの最終順位が挙げられます。
これ以外の②活動実績・③国内法人・④支援組織・⑥⑦財務状況・⑨株主の要件が充足できずにJ3入会が承認されなかった、という例は過去にありません。
以上のことから、Jリーグ(J3)入会要件について、まずは次のポイントに着目すれば良いことになります。
ポイント
・J3クラブライセンスを取得している
・JFLホームゲーム平均入場者数が 2,000人を超えている
・JFL最終順位が4位以上 かつ 百年構想クラブの上位2クラブ
2021年 特例措置
そして記事の冒頭に取り上げた「J3入会要件に関する特例措置について」です。
以下、ニュースリリースからの引用です。
■主な入会要件と特例措置の内容
入会要件(現行)
(Jリーグ規約 第17条第3項)特例措置の内容 備考 ⑤入会直前年度のJFLのリーグ戦におけるホームゲームの1試合平均入場者数が2,000人を超えており、かつ、3,000人に到達することを目指して努力していると認められること(以下略) 【以下を追記】
ただし、本号に定める要件については、2021年度の入会審査においては適用しない依然、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受ける状況にあるため、2020年度の特例措置を継続 引用元:Jリーグ公式サイト「J3入会要件に関する特例措置について」
新型コロナウイルス感染症感染拡大対策として、2021シーズンも入場者数の制限が設けられる可能性があるため、J3入会要件のうちホームゲーム平均入場者数の要件を適用しないことになりました。
つまり、2021シーズンは次の要件を満たせば良いことになります。
2021 入会要件のポイント
・J3クラブライセンスを取得している
・JFL最終順位が4位以上 かつ 百年構想クラブの上位2クラブ
百年構想クラブ
ではJFLに所属する「Jリーグ百年構想クラブ」はいくつあるのでしょうか。
Jリーグのニュースリリース「Jリーグ百年構想クラブ 審査結果について」によると、新たにクリアソン新宿(関東1部)、鈴鹿ポイントゲッターズ(JFL)、ヴェルスパ大分(JFL)が百年構想クラブに認定された、とあります。
従って2021シーズン、JFL所属の百年構想クラブは下記の7クラブ。
百年構想クラブ(JFL)
ラインメール青森
いわきFC
ヴィアティン三重
鈴鹿ポイントゲッターズ
F.C.大阪
奈良クラブ
ヴェルスパ大分
※青文字:2021シーズンJ3クラブライセンス取得クラブ
2021シーズンのJFLで4位以内となり、かつ、これら7クラブの中で上位2クラブにならないとJ3に入会できません。
たとえJFLで3位の成績を収めたとしても、1位・2位が百年構想クラブだった場合、入会要件を充たせないことになります。その1位・2位クラブがJ3ライセンスを保持している・いないに関わらず、です。
J3入会(昇格)条件のまとめ
最後に、ここまで述べてきたJFLからJ3への入会(昇格)条件をまとめます。
まとめ
●J3入会(昇格)の可能性を有するJFLクラブは次の7クラブ6クラブ
ラインメール青森、いわきFC、ヴィアティン三重、鈴鹿ポイントゲッターズ、
F.C.大阪、奈良クラブ、ヴェルスパ大分
※2021/7/1 ヴェルスパ大分は2022シーズンのJ3クラブライセンス申請を見送ると公式発表しました。
●J3クラブライセンスを取得していることが入会(昇格)の大前提
2021年9月30日までにライセンス交付を申請し審査を受ける
審査結果は2021年11月30日までに通知される
※2021/9/28 Jリーグはラインメール青森、いわきFC、ヴィアティン三重、鈴鹿ポイントゲッターズ、F.C.大阪、奈良クラブにJ3クラブライセンス交付を決定しました。
●その上でJFL最終成績が4位以内、かつ、百年構想クラブの中で上位2クラブになればJ3入会(昇格)決定
2021シーズンは特例でホームゲーム入場者数の要件が適用外になったとはいえ、J3を目指すクラブにとってはリーグ戦成績面の要件達成がかなり厳しいものになっている、という印象です。
J3入会クラブ数がいくつになるかによってリーグ戦終了後に開催される地域リーグとの入れ替え戦のレギュレーションが変わりますし、今季のJFLは最後の最後まで目が離せません。
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参考【2021】JFL・地域サッカーリーグ入れ替え方式
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昇格や残留がかかるクラブにとっては心底痺れるシーズンになりますが、部外者として見る分には非常に面白いJFLになるでしょう。
松江シティが残留争いに巻き込まれないことを祈りながら、2021シーズンを楽しみたいと思います。