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2020 JFL 第17節 鈴鹿ポイントゲッターズ vs 松江シティFC

2020年8月27日

プロモーションを含みます

2020 JFL 第17節
鈴鹿ポイントゲッターズ 1-2 松江シティFC
2020年 8月23日(日) 15:00 Kick off
三重交通Gスポーツの杜鈴鹿
リモートマッチ(無観客試合)

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スターティングメンバー

松江シティFC

松江シティはリーグ戦過去2試合のスタメンをベースに2トップの1枚を馬場悠(#44)に替え、過去2試合はフォワードでのスタートだった川中健太(#7)を右のインサイドハーフの位置に下げました。川中は試合途中の選手交代を機にこの位置でプレーしたこともあり、その時は中盤のつなぎ役として非常にいい仕事をしていたのでフォワードよりはインサイドハーフの方が適役だと個人的には思っておりました。この起用には納得です。

鈴鹿ポイントゲッターズ

鈴鹿スタメン

一方の鈴鹿は7月26日開催の天皇杯・三重県代表決定戦(vsヴィアティン三重)のフィールドプレイヤーでスタメンを構成してきました。唯一、ゴールキーパーだけこの日は岩脇選手ではなくセルヒオ選手が起用されています。

試合経過

前半

パスサッカーをベースとする両チーム。予想通り立ち上がりから中盤の主導権争いを繰り返し一進一退の攻防が繰り広げられます。お互いがなかなか決定機を迎えられない中、まず先制点を奪ったのは松江シティ

14分、右サイドから菅本岳(#11)が相手ゴール正面・ペナルティアーク手前のスペースに下りてきた酒井達磨(#19)にパス。相手ディフェンダーが詰めて来ますが酒井はこれを交わして左足でミドルシュート。ボールはセーブに行ったセルヒオ選手の右手をかすめて左隅にゴールイン!松江シティに先制点が入ります。

しかし喜びも束の間、その4分後の18分、今度は鈴鹿の左サイドから遠藤選手がゴール前にクロスボール。松江のディフェンダーと競り合いながらこれをコントロールしたエフライン選手が一歩前へ抜け出します。GK・井上亮太(#1)が飛び出しシュートストップを試みますが僅かに及ばず、エフライン選手が左足でゴールを決めて松江は1-1に追いつかれてしまいます。

その後はやや膠着状態となり、どちらかに流れが行くわけでもなく攻守の入れ替わりに終始する展開が続きます。

スコアが動かないまま前半が終わるかと思われましたが、42分に一瞬のスキを突いて松江に勝ち越し点が生まれます。
鈴鹿の選手が自陣内から前方に送ろうとしたパスを垣根拓也(#4)がタイミングよくインターセプト。大きく跳ね返ったボールはディフェンスラインの裏へ抜け出した酒井への絶好のスルーパスとなります。酒井は追走する相手ディフェンダーを振り切り、GKとの駆け引きにも勝って左足でゴール右隅にシュートを決めます。これで松江2-1鈴鹿

前半はこのスコアで終了します。

後半

酷暑の中でしたが松江シティはハードワークを怠らず、鈴鹿のボールホルダーへプレスをかけて相手のミスを誘発し、パスワークを寸断します。

なかなか思い通りに決定機が作れない鈴鹿は先に選手交代のカードを切ります。
61分、右サイドハーフの佐藤和馬選手に代えて小澤選手、右サイドバックの蓮沼選手に代えて今井選手を投入。この交代でどうやらシステムを4-3-3に変更したようです。
3トップに得点力のあるエフライン選手、遠藤選手、菊島選手を並べ、中盤に和田選手、藤田選手、小澤選手を配置。攻撃時には中盤の2枚が積極的に最前線に絡み、攻撃に人数をかけて何としてでも得点をもぎ取ろうという意図がこの布陣に強く表れていました。

しかし松江はこの攻撃的布陣に対し、流れの中で両ウィングバックが下がって5バックを形成するという割り切った守備で良く凌ぎ、また守備一辺倒ではなく時に攻撃に転じて追加点を奪いに行くという姿勢を随所に見せながら時間を進めていきます。

71分には鈴鹿が3人目の交代。中盤のセンターの位置にいた藤田選手に代わって出岡選手が同ポジションに入ります。
直後の73分には松江がこの日初めての交代。馬場悠に代えて北原大奨(#32)を投入。北原はディフェンス裏のスペースを常に狙い鈴鹿のディフェンスラインを上げさせないよう牽制。75分には酒井に代えて中井栞吏(#14)を投入し、北原と共にカウンターでの追加点を狙います。

システムを4-3-3にし、時には左サイドバックの野口選手まで高い位置を取って3-4-3でさらに攻撃の圧力を強めていた鈴鹿でしたが、それでも得点が奪えないとなると残り10分を切ったところで最後のカードを切ります。
81分、エフライン選手に代えて川里選手、キローラン選手に代えて斎藤選手が投入されると鈴鹿の攻撃がパワープレーモードに切り替わります。川里選手は本来はセンターバックの選手ですが、投入後はパワープレー要員として前線に張り付くだけでなく、松江陣内でスローインを得るとロングスローを放り込んで松江の守備陣をかなり苦しめました。

鈴鹿のパワープレーにより終盤は完全に自陣に押し込まれた松江でしたが全員が集中を切らさず、またロングボールの起点にも果敢にプレッシャーをかけに行き、さらにアディショナルタイムには泉に代えて今季初出場となる辻井裕介(#28)を守備固めで投入するという手堅さでしぶとく逃げ切り、1点差を守って松江が2-1で鈴鹿を破りました

戦評

両チームともお互い攻めあった印象のある試合でしたが、スタッツを見るとシュート数が松江5本鈴鹿4本と意外に少ないことが分かります。それだけ中盤の攻防が拮抗していたとも言えますし、シュートに至る直前で双方の守備陣がよく踏ん張ったとも言えます。

松江の攻撃は、もちろん2得点を挙げた酒井の活躍抜きには語れません。
昨季、大ケガをして離脱するまで酒井は4試合に出場したのですが、ゴールはゼロ。完全復活を期す今季は3試合で3ゴールとストライカーとして十分な活躍を見せています。
今季は中盤にJ3経験を持つ実力者が揃い、前線に好パスを配給してくれていることも酒井の活躍の要因となっているのは間違いないでしょう。
決勝点となった酒井の2点目は垣根のパスカットがアシストになりました。ライブで見ていた時は偶然の跳ね返りが好パスになったように見えたのですが、リプレイで見ると垣根酒井へのダイレクトパスを意図的に出しているように見えます。こうした質の高いアシストと決定力のあるエースストライカー。今季の松江の攻撃は見ていて本当に楽しいと感じます。

松江の守備の方も、馬場将大(#5)・筒井俊(#13)・下村尚文(#3)の安定した3バックを中心によく守りました。
特に終盤、鈴鹿がパワープレーを仕掛けてきた場面。昨季の松江であれば圧力に屈して失点していたでしょうが、全員が最後まで落ち着いて対処しチームとしての成長を見せてくれました。1点を追う鈴鹿が次々とフレッシュな選手を投入し、システムを変えて松江守備の混乱を図ろうとしても松江の選手たちが決して慌てる様子がなかったのも見ていて実に頼もしかったです。
結局松江は5人の交代枠うち3人しか使わず、終了間際の交代を除けばフォワード2枚を替えただけで2列目から後ろは90分強メンバーを替えずに戦い抜きました。実信監督の意図として、体力的な問題よりも守備のバランスを重視した結果と思われます。それだけ現在の守備に自信と信頼があるのでしょう。

昨季はホーム・アウェイ共に敗れた鈴鹿から、松江は今季ようやく勝ち星を挙げることができました。
同じく昨季2連敗したFC大阪には既に今季も敗れてしまいましたが、他に「ダブル」を喫してしまったホンダロック・ヴェルスパ大分・ヴィアティン三重・FCマルヤス岡崎との対戦はこれからです。もしかすると松江シティがこれらのクラブにも全て勝利し昨季のリベンジを果たしてくれるかもしれない…そんな期待も抱かせてくれた第17節の鈴鹿戦でした。

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