■第24回日本フットボールリーグ(2022)第11節
FC神楽しまね 3-1 FC大阪
2022年6月12日(日) 13:00
島根県立サッカー場
観客 340人
【得点者】 45+3分 堀田佳佑(しまね) 59分 川中健太(しまね) 64分 岩本知幸(FC大阪) 78分 谷尾昂也(しまね)
【警告・退場】 ■ 56分 齊藤隆成(FC大阪)
目下リーグ戦3連敗中の神楽しまね。
加えて開幕試合となった第2節・クリアソン新宿戦に勝利して以来、9試合勝ちがありません。
さらに深刻なのは第4節・ホンダロックSC戦でPKによる得点を取った後、5月4日に代替開催となった第1節・FCマルヤス岡崎戦も含めて7試合連続無得点中。
どこかで悪い流れを断ち切り、浮上のきっかけをつかみたい神楽しまねは今季2回目の益田開催となる今節、FC大阪を島根県立サッカー場に迎えました。
スターティングメンバー
FC神楽しまね
前節途中出場の堀田佳佑がこの試合はスタートから登場。加倉広海と2トップを組みます。
川中健太が左サイドハーフの位置に入り、ここまで主にサイドハーフで先発していた佐藤啓志郎・髙畑智也はリザーブに回りました。
DFラインは左右のサイドバックに変化があり、本来なら右サイドを務める筒井俊が左SBに、そして右SBには澤島輝が入っています。
FC大阪
FC大阪も神楽しまねと同じく4-4-2のフォーメーション。
リザーブにDF登録の選手を一人も置かず、非常に攻撃的なメンバー構成に見えます。
神楽しまね(松江シティFC)からFC大阪に完全移籍した伊能玲生選手はこの試合メンバー外。それどころか伊能選手は今季開幕から一度もメンバー入りしていません。怪我によるものなのか、あるいは塚原真也監督が求めるプレーを体現できていないからなのかその理由は分かりません。しまねでは主力として活躍した選手ですから動向が気になります。
試合経過
立ち上がりは慎重にロングボール主体で攻め合う両者。
中盤ではお互いルーズボールを激しく奪い合い、主導権を相手に渡したくないという気迫が見られます。
10分、浮き球をヘディングで競り合いに行った田平謙にアクシデント。
競り合いの際、前田悠斗選手の肩付近が顔面に入った田平はその場に倒れ込み長い時間治療を受けます。
結局、田平は12分に負傷交代となり、代わって山本蓮がボランチに入ることになりました。
前半飲水タイムまではFC大阪がしまねゴールに迫る回数が多く、押し気味に試合を進めている印象でしたが飲水タイム明けの25分、しまねにビッグチャンス。
右サイドからボールを持ち上がった加倉広海が中央にグラウンダーのクロスを送ると、これが菅本岳に通り菅本はフリーでシュート。しかしこれはGK櫻庭立樹選手が好反応で弾き出し、しまねはゴールならず。
その後は再びFC大阪が攻勢に出る時間が増え出しますが、しまねは集中した守備で凌ぎ相手に決定打を与えません。
40分辺りからはしまねが怒涛の反撃を展開。しかしこちらもチャンスを決め切れず、アディショナルタイムに加倉がフリーで放ったシュートも大きく枠を外れ、このまま前半はスコアレスで折り返すかと思われた前半終了間際のことでした。
自陣でボールを奪取した澤田理玖が川中健太にパス。川中が間髪入れず前方のスペースへパスを送ると、ここに飛び出した加倉がフリーでボールを収めGKと1対1。加倉は一旦GKを交わしてから中央に折り返すと、最後は堀田佳佑がしっかりゴールに蹴り込んでしまねが先制。
神楽しまね、実に8試合ぶりのゴールでしまね1-0FC大阪。
しまねの1点リードで後半へと向かいます。
後半、できるだけ長い時間リードを保っておきたかったしまねは後半早々に追加点を奪います。
49分、右サイドで相手の一瞬の隙をついてボールを奪った加倉がそのままバイタルエリアまで侵入すると、山本→川中とパスをつなぎ、最後は川中がコースを狙ったシュート。ボールは相手選手に当たりながらもゴールに吸い込まれ、しまね2-0FC大阪。
しまねがリードを2点に拡げます。
その後もアグレッシブな攻撃を続けるしまねでしたが64分、FC大阪フリーキックの場面。
FC大阪は一度右サイドにボールを流すと久保吏久斗選手がダイレクトに中央へクロスボール。これを岩本知幸選手が頭で合わせてFC大阪が1点を返します。しまね2-1FC大阪。
1点差に追い上げられたしまねは70分、後半飲水タイムのタイミングで2枚替え。
菅本に代えて佐藤啓志郎、堀田に代えて谷尾昂也を投入します。
すると78分。右サイドで山本からのパスを受けた加倉が中央へグラウンダーのアーリークロスを供給。これを谷尾が相手選手に寄せられながらもダイレクトに合わせて貴重な3点目。しまね3-1FC大阪。
その後はFC大阪の攻撃を冷静に跳ね返しつつ追加点も伺っていたしまねがこのままのスコアで逃げ切り、開幕戦以来の勝利。
リーグ戦、実に10試合ぶりの勝利をホームの観客と共に喜び合いました。
感想
攻撃
過去10試合で2点しか取れていなかった神楽しまねが今節の1試合だけでそれを上回る3点を取りました。
従来の攻撃と明らかに違っていたのは「スペースを狙った速い攻撃」。これに尽きます。
パスの出し手も受け手も速攻に使えるスペースを見つけると「そこに出す」「そこに走る」ということをお互いがひたすらシンプルにやり続けているように見えました。
これまでのボールポゼッション主体の攻撃とは全くタイプが異なる攻撃パターンですが、今節に関して言えば各選手この戦い方の落とし込みができているようで結果も出ています。
もちろんこの速攻一辺倒では相手に対策されてしまうので局面に応じて色々な攻撃パターンを臨機応変に繰り出す必要がありますが、まずは今回準備してきた攻撃法が「得点」という結果につながったことに安堵していますし、今後に向けて期待感も高まりました。
あとはこの好結果をこの1試合で終わらせないこと。
特に次節、ホーム松江で戦えますので願わくばしっかり得点を取り何とか勝利を飾ってもらいたいところです。
ストライカーとチャンスメーカー
加倉広海は1点目と3点目をアシスト。また2点目の起点になるなど全得点に絡み、まさにこの試合のMOMと言って良いでしょう。
昨季はスーパーサブとしてその得点力でチームを助けましたが、加倉はストライカーというよりはどちらかと言うとチャンスメーカータイプだと思っています。
1点目の起点となるスルーパスを出した川中健太もシュート技術はもちろん優れていますがやはりチャンスメーカータイプかと。
そういう意味で純粋なストライカーである堀田佳佑が戦列復帰したことは神楽しまねにとって非常に喜ばしい。
堀田は期待に応えてしまねの連続無得点試合を止めるゴールを決め、ノーゴールの呪縛を解いてくれました。
また交代出場の谷尾昂也もゴールを決め、一時の不調からは脱出しつつある気配が伺えます。このゴールをきっかけに量産体制に入ってくれれば言うことはありません。
この日の試合では図らずもお膳立てする選手(加倉・川中)と決め切る選手(堀田・谷尾)がきっちりその役割を果たしてくれました。
今後の神楽しまねにとって一筋の希望の光が見えた内容と結果だったと感じています。
次節の対戦相手
次節は2022年6月19日(日)、松江市陸に奈良クラブを迎えます。
奈良クラブとの対戦成績は過去3勝1分け1敗と比較的相性の良いしまね。
ただ直近の試合で1敗しているので過去の相性の良さはあまりあてにならないのかもしれません。
FC大阪戦の良い流れを継続するためにも、今度は松江市陸での今季初勝利を上げて選手やスタッフ、そして松江のファン・サポーター皆で喜びを分かち合いたいものです。
次節も勝利を期待しています。